移植チームにいると、メンタリティーが外科的というか、前向きに変わる。慢性腎不全というのは徐々に進行する病気であり、診療の根本はそのゆっくりとした下降を(患者さんもそうだし診療チームも)受け入れるところにあると思う。しかし移植をすると、どんどん腎機能がよくなり、だめになった腎臓のために患者さんが失った機能はどんどん回復していく。
たとえば血圧もどんどんさがって飲む抗高血圧薬が減っていくし、貧血も新しい腎臓が造血ホルモンを作るので回復するし、リンやカルシウムなどの電解質をコントロールする薬を飲む必要もなくなる。腎不全(透析)患者さんは水分制限を強いられるが、移植をするとこんどは新しい腎臓に血液がふんだんに届くよう、脱水を避け一日に2-3Lは水分を取るよう勧められる。