2011/12/15

go overboard

 カンファレンスでは二人(フェローとレジデント)が発表し、麻酔科のレジデントは腎不全患者における疼痛管理という極めてrelevantなtopicについて話した。前から思っていたが、US Medical Graduateで外科・麻酔科などのcompetitiveなレジデンシースポットを勝ち得た人達は、おしなべてとても優秀だ。

 彼女が引用していた論文(J Pain 2005 6 137)は、WHO three step analgesic ladderを元に腎臓内科医がreviewしたものだ。各薬の代謝と腎排泄、腎不全患者へのdose adjustmentの要否、腎毒性の有無などがladderの順を追って説明され分かりやすかった。Table 2は切りぬいて白衣に入れておく価値ありだ。

 Discussionのところで、ボスの先生が「わたしたち腎臓内科医は、NSAIDsに関してgo overboard(やりすぎ)じゃないかと思う」とおっしゃった。たしかにarthritisなどNSAIDsがよく効く痛みで家の外にも出られないような人に、NSAIDsは絶対禁忌というべきか。

 脱水、利尿剤、ACEI、高カルシウム血症、造影剤などと重なれば一粒のibuprofenが腎臓の命取りになることもあるだろう(し実際にみたこともある)が。患者さんの全体像をみて、riskとbenefitを計って判断することだ。さておき、go overboardという表現が気に入った(甲板を行きすぎて船から落っこっちゃう、ということ)。