2011/12/03

UNC Chapel Hill v. EUVS

 今日はrenal vasculitisの講義があった。先生はUNC Chapel Hillの出身だ。UNC Chapel Hillといえば糸球体腎炎の全米における最大のセンターであり、全米屈指の腎臓内科センターらしい。そんなことも知らなかった。そんな先生が「悔しいけどEUVS(欧州の血管炎研究グループ)のほうが質の高いスタディをしてるのよねー、でも彼らは論文を発表するのが遅い!」とか言うのを聞くと「本場で鍛えた人は違うなあ」とか思う。

 さてそんな先生の講義で分かったのは、腎血管炎(ANCA-associated vasculitits)の治療が9年前と変わっていないことだ。IV cyclophosphamideのほうがPO cyclophosphamideよりも短期間で積算投与量が少なく毒性を減らすことができるらしい。maintainanceにはAZA(azathioprine)のほうがMMF(mycofenolate mofetil)より優れている(EUVSのRCT、NEJM 2003, 349, 36-44)。

 血漿交換も、これまたEUVSがRCTをしており(MEPEX study: JASN 2007, 18, 2180-2188)腎機能の悪い例(Scr 5.8以上、あるいは透析を要する)では血漿交換とcyclosporine(とステロイド)を併用した群でESRDへの進行が有意に防がれた。彼らのprotocolが"7 exchanges in 14 days, exchange volume of 60mg/kg/session, with albumin replacement"だったので、皆それに従っている。

 以前に紹介したRAVE trialも、腎臓内科医(やリウマチ内科医)が「cyclophosphamideよりも毒性の少ないクスリはないものか?」と何年もかけて探し求めた文脈の中で生まれたと気付かされた。それでcyclophosphamideとrituximabを組み合わせようなどという話にはならないわけだ。MTXなども試され、重要臓器が冒されていないケースでは関節痛などの症状を緩和するらしい。