さて、今までの内容は、
僕たちのMGRS:
・MGRSをめぐる混乱の中から
・1/6 (歴史)
・2/6 (定義)
・3/6 (分類)
・4/6 (病理)
とまとめてあるので参考にしていただきたい。
今日は診断について話を進めていく。
流れとしては、
『①MGRSを疑うか?→②検査・尿検査はどうか?→③腎生検』となる。
①では、まずどのような人を疑うのか?
MGRSを疑う人:
・「非腫瘍性、もしくは前腫瘍性のモノクローナルガンマグロブリン血症があり」+「腎障害(腎機能低下やタンパク尿)がある」
②検査について
ここでは、モノクローナルガンマグロブリン血症を診断するための検査について述べたいと思う。
*単クローン性免疫グロブリン検査について
・血液と尿の電気泳動検査(SPEP・UPEP):最初の検査
・免疫固定(Immunofixation):これもSPEP/UPEPと同時に検査する。
原理:SPEP、UPEPで指摘したM蛋白がどの免疫グロブリンの増殖に由来するかを検出
通常は1種類の重鎖と軽鎖が検出される。電気泳動と抗原抗体反応を組み合わせた蛋白の同定法。
・遊離軽鎖検査(Free light chain assay):免疫固定でもわからない軽鎖の上昇を判断
血中の重鎖と結合していない軽鎖(κ、λ)を計測する。κ/λ比の正常値は0.26-1.65で、この範囲外である場合はいずれかの軽鎖が増殖していることを示唆。重度腎障害(CKD stage5以上)の際には0.34-3.10まで上昇
これらの検査結果は、腎疾患のタイプや重症度との関係ははっきりはしていないが、診断や予後決定の上で重要である。
Nature review nephro 2019 |
上記のようにMGRSを疑うような人に対して腎生検施行することを考慮する。
③上記の中の腎機能障害や尿異常などに関しては下記のように考えると理解しやすい。
・とくに腎生検を推奨する場合(下記の中の一つでもあれば):
・腎生検を中等度推奨する場合(下記の中の一つでもあれば):
①まずはMGRSを疑うかどうか?
↓
②採血検査や尿検査ではどうか
↓
③腎生検をして病理検査を確認
という流れになる。
今日は世界腎臓デイ、みんなでお祝いしましょう!
今年のテーマは
“kidney health for everyone everywhere – from prevention to detection and equitable access to care.”
なので、しっかりと診断をして治療につなげることは非常に重要になる。
次回は最後の治療について、是非楽しみにしてください。