2019/06/13

僕たちのMGRS 3/6(分類)

 今回はMGRSの分類について話していく。MGRSの定義に関しては2章を参考にしていただきたい。また、今後各疾患に関しても一つ一つ記事にして、リンクをつけていく予定である。

 MGRSの分類に関しては、下記に注目して分類してみる。


①どこにMIgが沈着するのか?
②MIg沈着以外の例外はあるのか?


①どこにMIgが沈着するのか?

 →主に糸球体、尿細管間質、血管に沈着する。

 下記に沈着部位によって疾患を羅列し、沈着物を記載する。

・糸球体に沈着するもの、疾患を示す。

形のそろった繊維状物 (Organized Fibrillar)が沈着する、免疫グロブリンによるアミロイドーシス(AL, AH, AHL)

 形のそろった繊維状物 (Organized Fibrillar)が沈着する、Fibrillary GN

 形のそろった微小管物 (Organized Microtubule)が沈着する、イムノタクトイド腎症

 形のそろった微小管物 (Organized Microtubule)が沈着する、クリオグロブリン腎炎 (Type1 and Type2)

 形のそろわない沈着物 (Nonorganized)が沈着する、MIDD (Monoclonal Immunoglobulin Deposition Disease)

 形のそろわない沈着物 (Nonorganized)が沈着する、PGNMID (Proliferative GN with Monoclonal Immunoglobulin Deposit)

・尿細管間質に沈着するもの、疾患を示す。


 形のそろった封入物または結晶 (Organized Inclusion or Crystalline depositits)が沈着する、LCPT (Light Chain Proximal tubulopathy)

 形のそろった封入物または結晶 (Organized Inclusion or Crystalline depositits)が沈着する、CSH (Crystal Storing Histiocytosis)

 形のそろわない沈着物 (Nonorganized)が沈着する、MIDD

・血管に沈着するもの、疾患を示す。


 形のそろった微小管物 (Organized Microtubule)が沈着する、クリオグロブリン腎炎 (Type1 and Type2)

 形のそろわない沈着物 (Nonorganized)が沈着する、MIDD

 形のそろった封入物または結晶 (Organized Inclusion or Crystalline depositits)が沈着する、(クリオ)クリスタログロブリン腎症

 形のそろった繊維状物 (Organized Fibrillar)が沈着する、免疫グロブリンによるアミロイドーシス)


イムノタクトイド腎症、PGNMIDなどは糸球体のみの病変を起こす。
LCPTは近位尿細管に病変を起こす。
クリオグロブリン腎炎は糸球体に病変を生じるが、血管病変も起こしうる。
アミロイドーシスとMIDDは糸球体、尿細管間質、血管のどの部分にも病変を起こしうる。
Nat Rev 2018より引用


②MIg沈着以外の例外はあるか?

・ MIg沈着なしの病変を示す。

 C3腎症+Monoclonal Gammopathy

    TMA (Thrombotic MicroAngiopathy)


下表は上記の①と②をまとめたものになる。 


この分類では、MIgが沈着するか否かで分けてあり、MIgが沈着する場合には沈着物が何かで分けている。
Port J Nephrol 2018より引用


分類に関しては実際に病理像をみながらでないとイメージをしづらいかもしれない。

それに関しては次回説明する。 つづく。


☆おまけ:

上記の表で形の揃っていない(Non organized)MIg沈着物のところに「Miscellaneous」があるのはお気づきだろうか?
このサブカテゴリーは、典型的なMGRSに関連はない腎疾患が含まれている。

このカテゴリーに含まれるものが

・抗GBMモノクローナル抗体(monoclonal gammopathyに伴う2次性)
  -この場合通常の採血で抗GBM抗体検出が困難で、通常の抗GBM関連腎障害に比して
  移植後の疾患再発率が高い(KI 2016)

・抗PLA2Rモノクローナル抗体

・IgA腎症を伴うHSP (Henoch Schonlein Purpura)


これらの疾患は馴染みのある疾患であるが、自己抗体がモノクローナルであればMGRSの一部に入るということは非常に興味深い。