この言葉を聞くコンサルトの場面として多いのは、何らかの影響でAKIになり、乏尿+輸液で体液過剰になるパターンだと思う。
ここでいつも困るのが、透析で水を引くのだが、コンサルト側としては尿も出ないし水をなるべくならたくさん引いてほしいと願っているが、我々としてはどこまでそれをしていいのかと悩んでしまう。
皆さんはその部分に対して明確な答えがあるのだろうか?
そもそも、水を引く(除水)量に関しては、量が少ない場合は組織浮腫から臓器障害をきたし、量が過剰になれば血行動態的に障害を受けるとされるため、適切な除水が求められる。
今回、JAMAからその疑問を多少解決する論文が出たので紹介する。また、Crit Careの論文も紹介する。
2005-2008年にオーストラリアとニュージーランドの35のICUで行われたRENAL trialのSecond analysisで行われている。
透析のmodarityに関しては、CRRTである。
詳細に関しては、各自で読んでもらいたいがNET Ultrafiltration(NUF) >1.75ml/kg/hr、1.01-1.75mg/kg/hr、<1.01mg/kg/hrで比較している。
結論としては、>1.75ml/kg/hrの除水が他のものに比べると生存率が最も低かった。
調整(Adjusted)したもので、>1.75ml/kg/hrは他のに比して有意差を認めている。 JAMAより引用 |
しかし、この論文は観察研究であり様々な交絡因子が取り除かれていないこと、人種や治療中の血圧低下の有無、併存疾患の有無が測定できていないこと、CRRT開始前の体液量がはっきりとわかっていないことはLimitationであり、今後のRCTでの再評価が必要となる部分であろう。
もう一つ少し前になるが、Crit careでも似たような論文がある。
この論文も観察研究ではあるが、
透析開始前に体重の5%以上の体液貯留があるものを対象とし、NUFを>25ml/kg/day、20-25ml/kg/day、<20ml/kg/dayで比較している。
除水の方法は、前の論文と異なりこちらではCRRT以外にIHDでの透析も含まれている。
これも詳細は割愛するが、
結論としてはNUF>25ml/kg/dayが1年死亡率が最も低かった。
上のグラフは死亡率を各徐水量によって比較している。 Crit Car2018より引用 |
これも観察研究であり、単施設であるといったLimitationはある。
これらから言える一つの推奨としては 、25 〜 42ml/kg/day(1.04 ~ 1.75ml/kg/hr)の除水量で患者の状態と相談して決定するのが一つなのではと考える(もちろん研究の透析方法も統一している訳ではないので注意)。ただ、あまりにも除水をしなさすぎるというのも患者の生命予後の点でも良くないなと痛感した。
これらは、一つの推奨ではあり、今後RCTなどが行われていくことで色々なことが判明していくと思われる。