2015/12/01

Iron-Based Phosphate Binders

 米国の腎臓内科雑誌にながらく広告されている新規リン吸着剤が、日本でも承認されていた。Sucroferric oxyhydroxide(米国名Velphoro®は2013年11月にFDA認可、日本名P-TOL®は2015年9月認可)と、ferric citrate(米国名Auryxia®は2014年9月にFDA認可、日本名Riona®は2014年1月認可というわけで日本のほうが認可が早くおりていた)。

 前者の鉄成分は不溶性なのにたいして後者は鉄として吸収される違いがあって、後者の使用により静注鉄やESAの使用が減ったというスタディもある(JASN 2015 26 2578)。ただ前者はchewableで食前一錠で済むのが便利なのと、相互作用のなかで後者はフルオロキノロンと結合してその作用を減弱させるのに対して前者は大丈夫なようだ。副作用でおおいのはどちらも下痢(ほかの吸着剤が便秘を起こすのと対照的だ)。

 しかしなぜ鉄なのか?それは無機リンが三価陰イオンで、三価陽イオンをとれる金属とよく結合するからだ。結合力が強い順にCrPO4、LaPO4、FePO4、AlPO4。しかしクロムやアルミニウムは毒性があるので現在ランサナムと鉄が実用化されている。