2015/12/08

Ten Commandments

 10 commandments for effective consultations(効果的なコンサルテーションのための十戒)というのは余りにも有名で(Arch Intern Med 1983 143 1753)、20年経って改訂された(Arch Intern Med 2007 167 271)が、原典のほうが書き下ろしでスカッとしている(改訂版には重要な変更点もあるが長ったらしいのと、どの科からコンサルトを受けたかによって対応が違ってくることを調査で示している)。日本でどれくらい有名かは知らないが、紹介しても損にはならないだろうし何より自分に言い聞かせなければならないことだから書くと、以下の10項目だ(原典)。

  1. Determine the question
  2. Establish urgency
  3. Look for yourself
  4. Be as brief as appropriate
  5. Be specific
  6. Provide contingency plans
  7. Honor thy turf (or thy shalt not covet thy neighbor's patient)
  8. Teach... with tact
  9. Talk is cheap... and effective
  10. Follow-up

 3番などは、プライマリサービス(あるいは主担当医)が考えたことや得た情報を尊重しつつ、でもやっぱり自分の頭で考えて自分で調べることで診断がついたりベターな治療ができるということで、その通りである。相手の言うことをすべて鵜呑みにしていたら新しい考えや診断は生まれない。というか、何かが足りないか間違っているからコンサルタントが必要な事態になっているわけで、コンサルトを受けた側はそれらを一から点検しなければならない。
 ただそうやって得たより正しい情報をどのようにフィードバックするかが問題で、後医は名医なくせに偉そうにカルテに大文字で書きなぐったりするのはよくない(8番にはwithout condescension、上から見下さずに、とある)。Web上のやりとりも本当はよくない、一番あとくされがないのは話すことだ(9番)。また最終的に判断するのはプライマリーサービスなのだから勝手に検査や治療を始められるのも困る(7番)が、この辺が曖昧な状況をよく目にする。
 あとは5番で、たとえば私は腎臓内科フェロー時代に腎機能のあわせた薬剤の用量調節がひつようなときに「腎機能のあわせた薬剤の用量調節」とレコメンドするのはご法度だと習った。ひとつひとつ使われている薬剤を調べて具体的にアドバイスするように、そのために私達はお金をもらっているのだと(日本は入院中のコンサルテーションにお金は発生しないが)。ただ、この問題については電子カルテと薬剤師さんの協力があればもっと漏れなくオートマチックにチェックできるのではないかと思う。