2015/12/01

Salicylamide

 PL顆粒はover-the-counterの総合感冒薬PyLon®を医療用にしたとき名前を残したからPLというそうだが、PyとLonがなんの略かは分からない(おそらくPyは解熱剤のantipyreticsを意味するのだろうが)。ところでこの中にはアセトアミノフェンとカフェインと抗ヒスタミン剤とサリチルアミドが入っている。サリチルアミドはサリチル酸にアミノ基がついたエステル(図:Conceptual Pharmacology by P. Jagadish Prasad, Universities Press, 2010)で、弱いがCOXを阻害するからNSAIDsはNSAIDsであり、あなどれない。

 NSAIDsだから輸入細動脈を締めてAKIを起こしたり、慢性使用で鎮痛剤腎症(以前に勉強した)を起こしたりはする。しかしoverdoseで教科書的に有名なサリチル酸中毒(嘔吐、意識障害、血小板減少、AG開大アシドーシス、呼吸性アルカローシス、腎機能低下)を起こすという報告はないようだ。サリチル酸中毒なら意識低下、乏尿、血中濃度100mg/dl以上などがあれば緊急透析適応になるから一安心。そもそも、サリチル酸濃度をオーダーしてもサリチルアミド濃度は測れない(「総サリチルアミド」というのが添付文書に書いてあるが)。