2015/12/10

Rising Cr on CVVHDF

 ICUでCVVHDFをまわしているのにBUN、Cr、K、Pなどが上がってくる(腎機能はほぼない状態で考慮しなくて良い)というようなことは、まずない。まず疑うのはCVVHDFの回路異常や中断、カテ先異常などだがそういう場合は脱血圧や送血圧、TMPなどが異常になってアラームが鳴るだろう。鳴らないなら、recirculation。大腿静脈カテーテルは内頚静脈カテーテルに比べてrecirculationが多い。また透析カテーテルは側孔から脱血し先端から送血するようにできているので、スイッチ(送血ポートから脱血して脱血ポートから送血)した場合も起こる。
 Recirculationを疑ったら脱血と送血の場所を離してみる(透析カテーテルと別に返血ルートを取る)か、再循環率を尿素希釈法などで求める(動脈ポート、静脈ポート、血流量を落として遠位を駆血した動脈ポートからの尿素をそれぞれA、V、SとしたときにS-A / S-V x 100で求め20%以上を有意とするそうだ)。ほかにもHFの置換が前希釈、UFをかけすぎて末梢組織に尿素をはじめとする老廃物が残ってしまうperipheral urea sequestrationなどが考えられるが、問題になったことはほとんどない。前希釈は透析膜の凝固を防いでくれるし、peripheral urea sequestrationは間欠的透析(iHD)で起こる現象のようだ。
 上記がなくて、CVVHDFが「普通の」クリアランスを提供しているにもかかわらず数字が悪くなってくるときには、老廃物の産生速度がクリアランスを上回っていると言うしかない。たとえば異化が亢進している場合だ。あまり良いサインではなさそうだが…。CVVHDFで十分なクリアランスが提供できない場合、どうするか。フェロー時代に肺移植後の致死的高アンモニア血症に対して二台のCVVHDFを同時にまわすのを見たことがある。iHDはどうか。血行動態が許すように最初は小さな膜で透析液流量も小さく(といっても100mL/minとかでmL/hrのCVVHDFとは桁が違うが)。ただこれで数字を良くしたところでアウトカムが変わるかはわからないけど。