2013年5月10日金曜日

ナノテクノロジー

 コンサルトにいると次から次に学ぶことがあり、やはり臨床からは離れたくない。ある日primary teamが「MRI with/without contrastしたいんだけど、透析の前と後どちらがいい?」と尋ねるので「前も後もダメでしょ、というかradiologistがさせないと思うけど」と答えたら「え、でも先週もしたよ?」という答え。

 調べてみると果たして、ferumoxytolが用いられていた。これはultrasmall superparamagnetic iron oxides(USPIOs)と呼ばれるナノ粒子酸化鉄の造影剤だ。大きさは30nm程度で、異常な脳血管バリアを越えてT1、T2弛緩時間を短縮させるので造影効果があるらしい。そのあと鉄はGdと違い脳間質でastrocytesなどに取り込まれる。

 Astrocytesに限らず、鉄はMRI検査のあと全身の網内系に取り込まれて造血に用いられる。そもそもferomoxytolはCKDの鉄欠乏のために開発され用いられていた位だ。2009年にGdのfuture alternativeとして雑誌に紹介された(KI 2009 75 465)とは知らなかったし、もはや身近に用いられているとも知らなかった。

 [2017年7月追加]日本腎臓学会のガイドラインはeGFRが30ml/min/1.73m2未満で他の手段に「代替えすべき」(長期透析が行われている終末期腎障害、急性腎不全についても同様と)、30以上60未満で「利益と危険性とを慎重に検討」したうえで決定し、つかうなら必要最小量が望ましい、としている。

 代替えすべきだけれど使わざるを得ない時には、NSFをよく起こしたことが知られているものを避けるべきともしている。「Gadodiamide(Omniscan®)に最も報告が多く、次いでGadopentetate dimeglumine(Magnevist®)に報告が多く、Gadoteridol(ProHance®)、Gadoterate(Magnescope)によるNSF発症の報告はほとんどない」という(こちらも参照のこと)。