2013/05/06

EGF and Mg

 マグネシウムを愛する人が訪れたい場所でまず思いつくのはギリシャのThessaly地方にあるMagnesiaであろう。ここで取れる滑石、Mg3Si4O10(OH)2がmagnesiaと呼ばれたのがマグネシウムの語源だからだ。そして、もう一つ訪れたいのがEnglandのSurrey地方にあるEpsom。ここの泉から湧く水はMgSO4を多く含み苦く、水気を抜いたEpsom saltという粉が医薬品として昔から売られていた。もっとも今では当時の面影はほとんど残っていないらしいが。

 前置きはさておき、マグネシウムについてまた学ぶ機会があった。それは、血中マグネシウム濃度はPPI、calcineurin inhibitorsなど様々な薬の影響を受けるが、ほかに分子標的抗がん剤EGFR inhibitors(のなかでもcetuximabとerlotinib)もあるということ。これは、EGFが遠位尿細管でEGFRに結合してMgチャネルTRPM6発現を増やしMg再吸収を増やすからだ。それをブロックするEGFR inhibitorを投与すれば尿中Mg排泄が増えて低Mg血症になる(Clinical Science 2012 123 1)。

 それから、マグネシウムとは関係ないがEGFR inhibitorのcetuximabがネフローゼ症候群を起こしたかもしれないという報告を知った(DOI: 10.1177/1078155212459668)。分子標的抗がん剤のなかでは他にVEGF inhibitorのbevacizumabが蛋白尿とネフローゼのリスクを上げる(JASN 2010 21 1381)。VEGF inhibitorの方は、なんとなく「VEGFって言うくらいだからそれをブロックしたら糸球体の内皮細胞異常が起こるのかな」と想像されるが、原因ははっきり分かっていない。Thrombotic microangiopathyの報告もあるようだ。