今回NEJMのケースが個人的にはとても勉強になったので共有したいと考えた。
一緒に振り替えれればと思う。
症例:34歳男性
現病歴:
・入院11週間前:発汗を伴う発熱、倦怠感、食欲低下、嘔気出現。(それまでは元気だった)
症状は8週間でさらに悪化し、咳嗽、息切れが出現し尿の泡立ちを自覚。
・入院22日前:検査のために救急外来受診。採血でCre:0.8mg/dl、BUN:7mg/dlであった
(医師の診察は受けず。)
・入院15日前:体調不良、嘔吐、2日持続する胸痛で再度受診。胸痛は呼吸で増悪する。
バイタルはBT:36.6, HR:76/min, BP:110/73, RR:16/min SpO2:95%(RA)
両側の耳の聞こえづらさと首のリンパ節腫脹あり。
呼吸音は両側消失、わずかなrhonchiが聞こえた。そのほかは身体所見問題なし。
★採血所見は下記にまとめて示す。
胸部造影CT:明らかな肺塞栓像なし
下肢静脈エコー:DVTなし
腹部エコー:脾臓の軽度拡大、腎実質の輝度が両側上昇
経食道心エコー検査:EF:60-65%、心嚢水なし。
胸痛も持続し、発熱も上昇したため他院に入院。点滴投与で胸痛も翌日には改善。
入院3日目に再度採血を施行。
造影なしで腹部CT:軽度の傍大動脈リンパ節の腫大、腎実質の輝度の上昇、子宮の液体
貯留あり
・入院7日前:下腿浮腫の出現し、フロセミドを開始。
・入院5日前:再度採血検査施行、フロセミド内服中止
・入院4日前:内頸動脈に透析カテーテル挿入し4日間透析を施行
・入院日:転院
入院日:
下肢浮腫改善し、気分はいいと。
7歳の時に車にひかれ難聴が進行している。
アレルギー:イブプロフェン(皮疹出現)
住まい:ニューイングランドに友人と住んでいる。
職業:労働者
家族:2人子供がいて、女性とは離れて暮らしている。
性交渉:同性・異性ともする。
輸血歴:なし
血液関連:6週間前に殴り合いをして血が開放創から入った。
喫煙:10本/日 15年間
薬物:マリファナを使用、
違法薬物なし
家族歴:母:冠動脈疾患、腎臓の家族歴なし
飲酒:なし
身体所見:
BT:37.2℃、HR:76、BP:138/93、RR:18、BW:82kg
下肢浮腫あり、その他は問題なし。
採血も採取
尿は
定性で比重:1.008、pH:8.0、尿糖:3+、尿蛋白:2+、尿潜血:1+
8g/Crの蛋白尿の所見
なにが腎障害を起こしているだろうか??
ポイントとしては
・若年の腎機能障害
・ネフローゼ症候群
・AKIの鑑別
次の回で解説の項目に触れたいと思う。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2017/04/21
2017/04/20
近位尿細管とアンモニア 2
近位尿細管にはいったグルタミンはいくつかの経路でミトコンドリアに入り分解される。ミトコンドリア内膜にはPDG(phosphate-dependent glutaminase)があって、
でグルタミン酸になる。グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素(GDH)により
で、クエン酸回路の中間体であるαKGになる。NH4+が外れたあとは、リンゴ酸になり細胞質にもどり、オキサロ酢酸からPEPCKでホスホエノールリン酸となって①解糖系からクエン酸回路、②糖新生のふたつの経路をたどる。その結果、それぞれ次式でグルタミン1分子あたり2つずつNH4+とHCO3-ができる。
となる。突然HCO3-がでてきたが、「〇〇酸」とかいてきたのはCOOH基のH+が電離した陰イオン(H+がついたものを「-ic acid」、電離したものを「-ate」と英語表記するが、よい訳語がない)だ。その分が結局HCO3-になると考えてよいと思う。
代謝性アシドーシスなどでアンモニア産生がふえるときには、以上の反応が進むためPDG、GDH、PEPCK酵素の活性があがる。またミトコンドリアへのグルタミン取り込みをふやすグルタミンユニポーターもしられている。
なお糖新生でできたグルコースはGLUT1、2を介して血中にでていく。アシドーシスになると糖新生がふえて耐糖能異常になりやすいという説もあるが、議論がわかれている。いずれにしても腎臓が糖を再吸収しているだけでなく糖新生もしている(ふだんでも血中にでていくグルコースの20%くらいは腎臓の糖新生由来とか;Diabetes Care 2001 24 382)、というのは意外と知られていない事実かと思う。砂糖工場だ(写真はSUGAR FACTORYラスベガス店)。
こうして生まれたNH4+はどうなる?つづく。
グルタミン → グルタミン酸 + NH4+
でグルタミン酸になる。グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素(GDH)により
グルタミン酸 → αKG(αケトグルタル酸) + NH4+
で、クエン酸回路の中間体であるαKGになる。NH4+が外れたあとは、リンゴ酸になり細胞質にもどり、オキサロ酢酸からPEPCKでホスホエノールリン酸となって①解糖系からクエン酸回路、②糖新生のふたつの経路をたどる。その結果、それぞれ次式でグルタミン1分子あたり2つずつNH4+とHCO3-ができる。
2グルタミン + 9O2 → 6CO2 + 4HCO3- + 4NH4+
2グルタミン + 6H2O + 3O2 → グルコース + 4HCO3- + 4NH4+
代謝性アシドーシスなどでアンモニア産生がふえるときには、以上の反応が進むためPDG、GDH、PEPCK酵素の活性があがる。またミトコンドリアへのグルタミン取り込みをふやすグルタミンユニポーターもしられている。
なお糖新生でできたグルコースはGLUT1、2を介して血中にでていく。アシドーシスになると糖新生がふえて耐糖能異常になりやすいという説もあるが、議論がわかれている。いずれにしても腎臓が糖を再吸収しているだけでなく糖新生もしている(ふだんでも血中にでていくグルコースの20%くらいは腎臓の糖新生由来とか;Diabetes Care 2001 24 382)、というのは意外と知られていない事実かと思う。砂糖工場だ(写真はSUGAR FACTORYラスベガス店)。
こうして生まれたNH4+はどうなる?つづく。
無症候性の顕微鏡的血尿の診断方法でコストがいいのは?(Cost-effectiveness of Common Diagnostic Approaches for Evaluation of Asymptomatic Microscopic Hematuria)
腎臓内科の外来で紹介患者で多いのは何だろうかと考えたときに、やはり検尿異常で紹介となる患者が多い。
そのなかで、今回は無症候性の顕微鏡的血尿にフォーカスを絞ってみた。
今回はJAMAの論文に無症候性血尿を精査する時にコスト的にいいのは何かという論文があった。
健診などで偶然発見された無症候性顕微鏡的血尿が、生命予後に直接影響するか明らかでない。
しかし、イスラエルの報告では16–25 歳(60%が男性)1,203,626 人では0.3%に持続血尿を認め,その22 年間の経過観察では持続血尿例の0.7%,非血尿例の0.045%に末期慢性腎不全の発症を認め,糸球体疾患による腎不全のリスクが約32 倍に上昇していたという報告があり、慢性腎不全の発症リスクの上昇に繋がる事も言われている。
ただ、無症候性血尿で注意をいなくてはいけないことは尿路上皮癌の存在である。
精密検査を受けた無症候性血尿の1.4 - 6.0% に尿路悪性腫瘍が発見されたとの報告がある。
尿路上皮癌罹患年齢は男女とも45 歳ころから増加し始め,60 歳以上で急に増加する。尿路上皮癌の危険因子として,
40 歳以上の男性,喫煙,有害物質への暴露,肉眼的血尿,泌尿器科疾患の既往,排尿刺激症状,尿路感染の既往,フェナセチンなどの鎮痛剤多用,骨盤放射線照射既往,シクロホスファミドの治療歴
がある。
日本のガイドラインでは顕微鏡的血尿があった場合に悪性腫瘍の検索も含めた検査としては、腎膀胱超音波検査+尿細胞診 ± 膀胱鏡となっている。
膀胱鏡検査に関しては、上記の危険因子を有している高リスクには適応になる。
では、前置きが長くはなったが、今回の論文を見てみる。
無症候性血尿に対して悪性腫瘍の検索という点で効果的に費用をかけすぎずに検索する方法は何かを4つの検索方法を比較しているものである。10000人の患者に対して。
① CT検査単独
② 膀胱鏡のみ
③ CT検査と膀胱鏡検査併用
④ 腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査
結果として腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査が最も費用対効果(費用でみてがんの発見が高かった。)がよかったという結果になった。
腎膀胱超音波検査をCT検査に置き換えて再度見ているが、1人追加でがんが見つかったが莫大にコストは増加してしまった。
なので、現状は我々はこの血尿患者さんはリスクが高いのかな??と判断する必要があり、その中で必要な人には腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査の併用が検査ではいいのではと感じた論文であった。
そのなかで、今回は無症候性の顕微鏡的血尿にフォーカスを絞ってみた。
今回はJAMAの論文に無症候性血尿を精査する時にコスト的にいいのは何かという論文があった。
健診などで偶然発見された無症候性顕微鏡的血尿が、生命予後に直接影響するか明らかでない。
しかし、イスラエルの報告では16–25 歳(60%が男性)1,203,626 人では0.3%に持続血尿を認め,その22 年間の経過観察では持続血尿例の0.7%,非血尿例の0.045%に末期慢性腎不全の発症を認め,糸球体疾患による腎不全のリスクが約32 倍に上昇していたという報告があり、慢性腎不全の発症リスクの上昇に繋がる事も言われている。
ただ、無症候性血尿で注意をいなくてはいけないことは尿路上皮癌の存在である。
精密検査を受けた無症候性血尿の1.4 - 6.0% に尿路悪性腫瘍が発見されたとの報告がある。
尿路上皮癌罹患年齢は男女とも45 歳ころから増加し始め,60 歳以上で急に増加する。尿路上皮癌の危険因子として,
40 歳以上の男性,喫煙,有害物質への暴露,肉眼的血尿,泌尿器科疾患の既往,排尿刺激症状,尿路感染の既往,フェナセチンなどの鎮痛剤多用,骨盤放射線照射既往,シクロホスファミドの治療歴
がある。
日本のガイドラインでは顕微鏡的血尿があった場合に悪性腫瘍の検索も含めた検査としては、腎膀胱超音波検査+尿細胞診 ± 膀胱鏡となっている。
膀胱鏡検査に関しては、上記の危険因子を有している高リスクには適応になる。
では、前置きが長くはなったが、今回の論文を見てみる。
無症候性血尿に対して悪性腫瘍の検索という点で効果的に費用をかけすぎずに検索する方法は何かを4つの検索方法を比較しているものである。10000人の患者に対して。
① CT検査単独
② 膀胱鏡のみ
③ CT検査と膀胱鏡検査併用
④ 腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査
結果として腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査が最も費用対効果(費用でみてがんの発見が高かった。)がよかったという結果になった。
腎膀胱超音波検査をCT検査に置き換えて再度見ているが、1人追加でがんが見つかったが莫大にコストは増加してしまった。
なので、現状は我々はこの血尿患者さんはリスクが高いのかな??と判断する必要があり、その中で必要な人には腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査の併用が検査ではいいのではと感じた論文であった。
2017/04/19
アミノ酸トランスポーター
アミノ酸だけで20種類ありほかにもイミノ酸(プロリン)、GABA、オルニチン、シトルリンとか仲間もいれると数が多い。だからそれらを通すトランスポーターも種類がおおいし分類も複雑だ。分かる範囲、腎臓に関係ある範囲でまとめてみよう(参考にしたのはBiochem J 2011 436 193;Brennerなどにも詳細な解説があるので参照されたい)。
まず近位尿細管でグルタミン取り込みに関係するB0AT、Y+LAT-4F2hc、LAT-4F2hc、TATを解読してみる。
まず近位尿細管でグルタミン取り込みに関係するB0AT、Y+LAT-4F2hc、LAT-4F2hc、TATを解読してみる。
B0ATのATはアミノ酸トランスポーターのこと。Bはbroad、つまりいろいろなアミノ酸が通過できる。大文字なのはNa+に依存する、小文字なのはNa+に依存しない。ゼロは、電気的に中性のアミノ酸が通過できる(グルタミンは中性)。
Y+LATもATは同じ。Y+は生理的なpHで陽性に荷電したアミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リシン)、Lはロイシンに代表される大型中性アミノ酸をそれぞれ通すということ。LATはY+を通過しない。どちらも大文字だからNa+依存。4F2hcは表面抗原の一種で(hcはheavy chain)、これとヘテロマーをつくることでY+LAT1もLAT1も機能できる。
TATもATは同じ、最初のTは芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)の通過を意味する。大文字だからNa+依存だ。なおB0、Y+のほかに陰性荷電のアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)の通過を意味するX-、側鎖にN原子をもつアミノ酸を通すN、プロトンとアミノ酸の共輸送を意味するPなどがある。
これらのアミノ酸トランスポータの変異でおこる腎疾患もあるし、近位尿細管の生理はこれからもっと注目されるだろうから、NHE3とかNBCe1とかと同じように少し親和性をもつと役立ちそうだ。下に主な疾患を整理しておく。
ジカルボキシルアミノ酸尿症
・興奮アミノ酸トランスポーター3(X-通過のアミノ酸トランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC1A1
シスチン尿症
※尿中の結晶は下図(Renal Fellow Networkより)
・B0,+AT-rBAT(中性と陽性荷電のアミノ酸を通すヘテロマーのアミノ酸トランスポーター)、遺伝子名はそれぞれSLC3A1、SLC7A9
Hartnup病
・前述のB0AT1、遺伝子名はSLC6A19
LPI(リジン尿性タンパク不耐症)
・前述のY+LAT1、遺伝子名はSLC7A7
イミノグリシン尿症
・PAT2(H+とともにプロリンやグリシンなど小さな中性アミノ酸を通すトランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC36A2
シスチン症
・シスチノシン(シスチントランスポーター)、遺伝子名はCTNS
TATもATは同じ、最初のTは芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)の通過を意味する。大文字だからNa+依存だ。なおB0、Y+のほかに陰性荷電のアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)の通過を意味するX-、側鎖にN原子をもつアミノ酸を通すN、プロトンとアミノ酸の共輸送を意味するPなどがある。
これらのアミノ酸トランスポータの変異でおこる腎疾患もあるし、近位尿細管の生理はこれからもっと注目されるだろうから、NHE3とかNBCe1とかと同じように少し親和性をもつと役立ちそうだ。下に主な疾患を整理しておく。
ジカルボキシルアミノ酸尿症
・興奮アミノ酸トランスポーター3(X-通過のアミノ酸トランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC1A1
シスチン尿症
※尿中の結晶は下図(Renal Fellow Networkより)
・B0,+AT-rBAT(中性と陽性荷電のアミノ酸を通すヘテロマーのアミノ酸トランスポーター)、遺伝子名はそれぞれSLC3A1、SLC7A9
Hartnup病
・前述のB0AT1、遺伝子名はSLC6A19
LPI(リジン尿性タンパク不耐症)
・前述のY+LAT1、遺伝子名はSLC7A7
イミノグリシン尿症
・PAT2(H+とともにプロリンやグリシンなど小さな中性アミノ酸を通すトランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC36A2
シスチン症
・シスチノシン(シスチントランスポーター)、遺伝子名はCTNS
2017/04/18
近位尿細管とアンモニア 1
以前にアンモニアが腎臓でどのように移動しているかをまとめた。図にするとこういうことだ(Am J Physiol Renal Physiol 2011 300 F11より改変)。アンモニアは尿中のほかの溶質とちがってろ過されてくるのではなく、近位尿細管でつくられネフロンを流れる。ループ上行脚のNKCC2でK+のかわりに再吸収され間質にはいる。一部はまたループの下降脚から内腔に戻りリサイクルされ、一部が集合管から排泄される。
以前に近位尿細管で1分子のグルタミンから2つのNH4+と2つのHCO3-が出来ると触れたが、グルタミンはどこからくるか?糸球体をろ過されアミノ酸トランスポーターB0AT1などでほぼ100%吸収される。そのうち分解されてNH4+、HCO3-になるのは一部で、余った分はY+LAT1-4F2hcやLAT2-4F2hcから間質にでていく(かわりにTAT1から芳香族アミノ酸が入ってくる)。略語が多いが、これらのついての説明は別に書く。
尿中アンモニアと腎予後の論文(doi:10.1681/ASN.2016101151)が注目されてもいるし、これから「HCO3を保てばいい」という代謝性アシドーシス診療が変わるかもしれない。そこで、腎とアンモニアについて基礎から振り返ってみよう(参考にしたのは今年2月にででたPhysiol Rev 2017 97 465、下図も)。まずはアンモニアの生成から。
以前に近位尿細管で1分子のグルタミンから2つのNH4+と2つのHCO3-が出来ると触れたが、グルタミンはどこからくるか?糸球体をろ過されアミノ酸トランスポーターB0AT1などでほぼ100%吸収される。そのうち分解されてNH4+、HCO3-になるのは一部で、余った分はY+LAT1-4F2hcやLAT2-4F2hcから間質にでていく(かわりにTAT1から芳香族アミノ酸が入ってくる)。略語が多いが、これらのついての説明は別に書く。
代謝性アシドーシス、あるいは酸の負荷が過ぎる、低カリウム血症などでNH4+排泄を増やしたいときに近位尿細管細胞はどうするか?ろ過されたグルタミンだけでなく間質からもグルタミンを取り込むことがわかり、これは基底側にあるSN1とよばれるNa+依存グルタミントランスポーターによっておこなわれる。上記の条件下でSN1の近位ネフロンで発現範囲と発現量がふえることがわかっている。また取り込んだグルタミンが出て行かないようにか、Y+LATの発現は減る。
とりこまれたグルタミンはどうなるか?つづく。
2017/04/17
近位尿細管はいま
ネフロンで治療のターゲットになってきたのは主に遠位だ。そこが最終的なファインチューニングを行うので調節するのにちょうどよいからと思われる。いっぽう、再吸収のほとんどを担当し、腎臓でもっともエネルギーを消費するところでもある近位尿細管は調節するには難しい。近位尿細管で脱炭酸酵素を阻害するアセタゾラミドも利尿薬として使い勝手のよい薬ではない(代謝性アルカローシスで利尿薬を切れないときの最後の手など)。
しかし、近位尿細管というフロンティアも研究でさまざまな標的分子がみつかっているからこれから薬ができるかもしれない。たとえば最近Kidney NewsのDetective NephronにeDKAが取り上げられた(エピソード18)SGLT2阻害薬は近位尿細管がターゲットだ。近位尿細管は尿酸の再吸収もおこなっているから、昔からあるベンズブロマロンにかわるあたらしい再吸収阻害薬なんかも開発されるかもしれない。
という流れで読むと興味深い論文が、JASNにでていた(doi;10.1681/ASN.2016080930)近位尿細管でのHCO3-吸収はreclamationと呼ばれ、再吸収と呼ばれない。HCO3は、直接再吸収するのではなく、内腔の脱炭酸酵素によってHCO3がCO2になって細胞内に入り、それが細胞内の脱炭酸酵素CA2によってHCO3になり、NBCe1から身体に入る(いっしょにできるH+は尿に排泄されアンモニアやリン酸にバッファーされる、図は論文から)。
論文では、上記の過程と別に、ろ過されたHCO3の15%程度は新しく見つかったNa/HCO3共輸送体であるMCDL-NBCn2を介して直接尿細管細胞に再吸収されているかもしれないという仮説を、数学的には証明した(図、論文から)。Na/HCO3共輸送体は何種類もあるから闇雲にブロックするわけにもいかないだろうが、近位尿細管の生理学が新たにわかることで新しい治療につながることを期待したい。
[2017年6月追加]本文で予言した、URATに働きかける新しい尿酸降下薬は、実在する。Lesinurad(商品名Zurampic®)がそれで、URAT1の阻害薬だ。第3相試験で、Febuxostatとの併用群(400mg/d)がFebuxostat単独より尿酸値をさげ、痛風結節を縮小した(DOI:10.1002/art.40159)。200mg/dでは尿酸値の追加効果に有意差がなかった。やはり、近位尿細管はフロンティアだ。
しかし、近位尿細管というフロンティアも研究でさまざまな標的分子がみつかっているからこれから薬ができるかもしれない。たとえば最近Kidney NewsのDetective NephronにeDKAが取り上げられた(エピソード18)SGLT2阻害薬は近位尿細管がターゲットだ。近位尿細管は尿酸の再吸収もおこなっているから、昔からあるベンズブロマロンにかわるあたらしい再吸収阻害薬なんかも開発されるかもしれない。
という流れで読むと興味深い論文が、JASNにでていた(doi;10.1681/ASN.2016080930)近位尿細管でのHCO3-吸収はreclamationと呼ばれ、再吸収と呼ばれない。HCO3は、直接再吸収するのではなく、内腔の脱炭酸酵素によってHCO3がCO2になって細胞内に入り、それが細胞内の脱炭酸酵素CA2によってHCO3になり、NBCe1から身体に入る(いっしょにできるH+は尿に排泄されアンモニアやリン酸にバッファーされる、図は論文から)。
論文では、上記の過程と別に、ろ過されたHCO3の15%程度は新しく見つかったNa/HCO3共輸送体であるMCDL-NBCn2を介して直接尿細管細胞に再吸収されているかもしれないという仮説を、数学的には証明した(図、論文から)。Na/HCO3共輸送体は何種類もあるから闇雲にブロックするわけにもいかないだろうが、近位尿細管の生理学が新たにわかることで新しい治療につながることを期待したい。
[2017年6月追加]本文で予言した、URATに働きかける新しい尿酸降下薬は、実在する。Lesinurad(商品名Zurampic®)がそれで、URAT1の阻害薬だ。第3相試験で、Febuxostatとの併用群(400mg/d)がFebuxostat単独より尿酸値をさげ、痛風結節を縮小した(DOI:10.1002/art.40159)。200mg/dでは尿酸値の追加効果に有意差がなかった。やはり、近位尿細管はフロンティアだ。
2017/04/15
腎不全の人に対しての骨粗鬆症予防の利益や悪影響(Benefits and Harms of Osteoporosis Medications in Patients With Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis)
骨粗鬆症に関しては、ガイドラインが日本でも作成されている(2015年 ガイドライン)。
その中にCKD(慢性腎不全)と骨粗鬆症の項目が数ページある。
CKDは糖尿病と並ぶ骨粗鬆症のリスクであり、原因に関しては様々なものが言われており
・続発性副甲状腺機能亢進症、・ビタミンD欠乏、・低カルシウム血症・高リン血症、・酸化ストレス増大、・栄養障害
など多岐にわたる。
特に我々が悩むのは、CKDの骨粗鬆症患者への治療である。
上記ガイドラインの133ページはまとめた表があり、一度参照することをお勧めする。
今回、この話題を取り上げたのは、Annals of internal medicineにsystematic review and meta-analysisの論文が出たからである。
この論文では、CKD患者への骨粗鬆症薬の利益と悪影響を見ている。
骨粗鬆症薬は
・ビスフォスフォネート、
・テリパラチド(遺伝子組み換えヒトPTH製剤:フォルテオ)、
・ラロキシフェン(選択的エストロゲン受容体作動薬:エビスタやビビアント)、
・デノスマブ(RANKL阻害薬:プラリア)
を見ている。
2006年12月から2016年12月までのPubmedやCochraneのデータベースを用いている。
13の試験で見ており(n=9850)、6つは腎移植後の患者、3つはCKD stage3-5や透析を受けていた患者、4つは閉経後のCKD女性を見た研究である。
結果は
・ビスフォスフォネート:腎移植後の患者に対して中等度のエビデンスを持って骨密度の低下を遅くしたが、骨折や安全性ははっきりしていない。また、他の腎移植後以外の群でも効果は不明確であった。
・テリパラチド:骨密度や骨折のリスク低下は不明確であり、逆に安全性に疑問があるという結果が出た。
・ラロキシフェン:椎体骨折の予防にはつながるかもしれないが、骨密度の改善には寄与しない可能性が高い。
・デノスマブ:骨密度や骨折のリスク低下は不明確であり、逆に安全性に疑問があるという結果が出た。
今回の論文では、結局は骨粗鬆症薬のCKD患者に対する骨折リスクや骨密度や安全性は明確にはなっていないということがわかった。
今回の論文ではCKDにおける骨粗鬆症薬のエビデンスを明確にすることはできてはいないが、このような試みの積み重ねが次のエビデンスを作っていく。
自分も本当に頑張らねばと感じた論文であった。
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