クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2014/02/18
Peerの重要性
一緒に働いている先生方に言われるまで、IgA腎症のレビュー(NEJM 2013 368 2402)も、横紋筋融解症のレビュー(NEJM 2009 361 62)も、知らなかった。Peerの重要性はここにある。自分ひとりでは出来ない。こうやって高めあえる相手がいることが大事だ。
2014/02/11
電極法 (aka HCO3- measurement)
腎臓内科に限らず多くの人が生化学でオーダーしている電解質だが、これがどんなふうに測定されているかをこないだ初めて知った。Na+、K+、Cl-については電極法という方法で測定するそうだ。要は検体とレファレンス溶液の電位差を測定するわけだが、検体にはいろんなイオンが入っているので個々のイオン濃度を測定するには個々のイオンに選択的な電極膜が必要だ。そこでNa+、K+についてはクラウンエーテルと呼ばれる王冠の形をしたエーテル化合物の膜が用いられ、Cl-には超積層固定化分子配向膜が用いられる。クラウンエーテルの構造式はほんとうに王冠みたいで美しいし、「超積層固定化分子配向膜」なんて、そんな高度な技術を用いてCl-濃度を測定していたとは驚いた。
さて、日本はCl-を測るがHCO3-はガス分析でpHとpCO2から計算した値を用いるので、生化学だけでは酸塩基平衡もアニオンギャップも分からない(それならいっそCl-も測らなければいいという考えもあろうが)。「住めば都」、米国でCRPなしで診療できたように(もっとも私は日本にいたときからCRPは非特異的だし余り使わなかったが)、日本でHCO3-が基本生化学に入っていなくても診療ができないことはない。ただ疑問なのは、米国でCRPは「測らない」だけで「測れない」ことはない(膵炎などでは使ったし、高感度CRPは冠動脈疾患のリスク因子として研究もされている)のに、どうしてHCO3-は日本の病院で「測れない」のだろうかということだ。
その謎に迫るために、まずHCO3-の測定がどのようになされているのか調べてみた。すると、私が生まれる前の1976年に発表された方法(Clin Chem 1976 22 243)がいまでも使用されていることが分かった。その方法とは、まずHCO3-をphosphoenolpyruvateとともにphosphoenolpyruvate carboxylaseという酵素で反応させoxaloacetateをつくり、oxaloacetateをNADHとともにmalate dehydrogenaseという酵素で反応させmalateとNAD+をつくる。NADHが酸化され減少すると、340nm波長のスペクトルが減少する。このスペクトルの減少幅が検体のHCO3-濃度に比例することから、HCO3-濃度を定量できる。
ということで、おそらく日本にもphosphoenolpyruvate、NADH、phosphoenolpyruvate carboxylase、malate dehydrogenaseは存在し、スペクトロメターも存在するだろうから、日本でこの方法を用いてHCO3-を測定しないのは単純に慣習の問題なのだろう(あるいは、これらの基質が日本には希少ということもまったくあり得なくはないが)。まあ、静脈サンプルから直接測定したHCO3-濃度とABGから計算したHCO3-濃度にはほとんど差がなかったという報告(Clin Chem 2008 54 1586)もあるし、日本にも血液ガス分析装置ならたいていの病院にはあるのでそこまで不便はないが、この酵素法が日本にもあるのか、もう少し調べてみたい。
[2016年6月追加]酵素法はシーメンスのディメンション®シリーズ(日本にはEXL®、Vista®があるが最高スペックのRxL Max®を使っているところもあるようだ)で測定できる。また最近、東洋紡がダイヤカラーCO2®を売っている。補酵素にMg2+を使うことと、吸光度計では波長405nm(青紫)と505nm(緑)における吸光度の差を精製水を対照に光路長10mmで測定し、インキュベーション後の吸光度からインキュベーション開始時のを差し引いた値を求めるらしい。またベックマン・コールター社がシンクロンシステム®用の試薬を売っていたがシンクロンじたいが日本にはないようだ(UA®、Unicel DxC®;これらは電極法で緊急時測定項目としてCO2を測れるらしい)。
さて、日本はCl-を測るがHCO3-はガス分析でpHとpCO2から計算した値を用いるので、生化学だけでは酸塩基平衡もアニオンギャップも分からない(それならいっそCl-も測らなければいいという考えもあろうが)。「住めば都」、米国でCRPなしで診療できたように(もっとも私は日本にいたときからCRPは非特異的だし余り使わなかったが)、日本でHCO3-が基本生化学に入っていなくても診療ができないことはない。ただ疑問なのは、米国でCRPは「測らない」だけで「測れない」ことはない(膵炎などでは使ったし、高感度CRPは冠動脈疾患のリスク因子として研究もされている)のに、どうしてHCO3-は日本の病院で「測れない」のだろうかということだ。
その謎に迫るために、まずHCO3-の測定がどのようになされているのか調べてみた。すると、私が生まれる前の1976年に発表された方法(Clin Chem 1976 22 243)がいまでも使用されていることが分かった。その方法とは、まずHCO3-をphosphoenolpyruvateとともにphosphoenolpyruvate carboxylaseという酵素で反応させoxaloacetateをつくり、oxaloacetateをNADHとともにmalate dehydrogenaseという酵素で反応させmalateとNAD+をつくる。NADHが酸化され減少すると、340nm波長のスペクトルが減少する。このスペクトルの減少幅が検体のHCO3-濃度に比例することから、HCO3-濃度を定量できる。
ということで、おそらく日本にもphosphoenolpyruvate、NADH、phosphoenolpyruvate carboxylase、malate dehydrogenaseは存在し、スペクトロメターも存在するだろうから、日本でこの方法を用いてHCO3-を測定しないのは単純に慣習の問題なのだろう(あるいは、これらの基質が日本には希少ということもまったくあり得なくはないが)。まあ、静脈サンプルから直接測定したHCO3-濃度とABGから計算したHCO3-濃度にはほとんど差がなかったという報告(Clin Chem 2008 54 1586)もあるし、日本にも血液ガス分析装置ならたいていの病院にはあるのでそこまで不便はないが、この酵素法が日本にもあるのか、もう少し調べてみたい。
[2016年6月追加]酵素法はシーメンスのディメンション®シリーズ(日本にはEXL®、Vista®があるが最高スペックのRxL Max®を使っているところもあるようだ)で測定できる。また最近、東洋紡がダイヤカラーCO2®を売っている。補酵素にMg2+を使うことと、吸光度計では波長405nm(青紫)と505nm(緑)における吸光度の差を精製水を対照に光路長10mmで測定し、インキュベーション後の吸光度からインキュベーション開始時のを差し引いた値を求めるらしい。またベックマン・コールター社がシンクロンシステム®用の試薬を売っていたがシンクロンじたいが日本にはないようだ(UA®、Unicel DxC®;これらは電極法で緊急時測定項目としてCO2を測れるらしい)。
2014/02/04
HD for hypothermia
映画『BRAVE HEARTS 海猿』(2012年)は、故障した飛行機を海上着水させて乗客乗員をレスキューする感動的な話だが、季節は触れられていない。低体温の話がでなかったので、おそらく夏だったのだろう(話は東京湾だが、ロケ地は福岡のようだ)。
さて、今いる場所は北緯26度、冬でも最低気温は平均14~16℃だが、それでも体温よりは低い。だから、事と次第によっては(たとえ普段着で海に飛び込むとかそういう奇想天外なことをしなくても)低体温症は起こる。
それで血液透析患者さんの低体温症を診ることもあるわけだが、ここで少し問題がある。というのも、暖かい毛布はいいとして、温生食は体液過剰になってしまうし、膀胱洗浄は膀胱が萎縮しているので出来ない。ECMOも腹腔洗浄も侵襲的だ。
そこで誰しも考えるのが、血液透析による復温だろう。実際、腎機能が正常でも異常でも血液透析が試された報告例はある(CJEM 2009 11 174)し、NEJMの低体温レビュー(NEJM 2012 367 1930)にも、アルゴリズムには載ってないが紹介されている。
透析液の温度は?HDよりHDF/HFのほうが置換液を直接身体にいれるからいいの?CVVHDFは?チュービングも温めたほうがいいの?質問は尽きないが、前述の症例報告をしたカナダのグループがliterature reviewしてもあまり引っかからなかったようだ。
さて、今いる場所は北緯26度、冬でも最低気温は平均14~16℃だが、それでも体温よりは低い。だから、事と次第によっては(たとえ普段着で海に飛び込むとかそういう奇想天外なことをしなくても)低体温症は起こる。
それで血液透析患者さんの低体温症を診ることもあるわけだが、ここで少し問題がある。というのも、暖かい毛布はいいとして、温生食は体液過剰になってしまうし、膀胱洗浄は膀胱が萎縮しているので出来ない。ECMOも腹腔洗浄も侵襲的だ。
そこで誰しも考えるのが、血液透析による復温だろう。実際、腎機能が正常でも異常でも血液透析が試された報告例はある(CJEM 2009 11 174)し、NEJMの低体温レビュー(NEJM 2012 367 1930)にも、アルゴリズムには載ってないが紹介されている。
透析液の温度は?HDよりHDF/HFのほうが置換液を直接身体にいれるからいいの?CVVHDFは?チュービングも温めたほうがいいの?質問は尽きないが、前述の症例報告をしたカナダのグループがliterature reviewしてもあまり引っかからなかったようだ。
2014/01/24
血漿交換 4
ここまで自分が経験した血漿交換例を手がかりに勉強してきた。ところで、ASFAガイドラインは140ページもある。だから必要なときに必要な部分を読めばよいが、最後にASFAがGrade Iで適応を推奨している疾患一覧を並べる。
AIDP
age-related macular degeneration, dry (rheopheresis)
ANCA-associated RPGN, dialysis dependent
ANCA-associated RPGN, with diffuse alveolar hemorrhage
anti-GBM disease, with alveolar hemorrhage
anti-GBM disease, dialysis independent
babesiosis, severe
CIDP
cryoglobulinemia, severe
cutaneous T-cell lymphoma, erythrodermic (ECP)
familial hypercholesterolemia, homozygotes (LDL-apheresis)
FSGS, recurrent in transplanted kidney
atypical HUS, factor H antibody
hereditary hemachromatosis (erythrocytapheresis)
hyperleukocytosis (leukocytapheresis)
hyperviscosity in monoclonal gammopathies, symptomatic
hyperviscosity in monocloncal gammopathies, prophylaxis for rituximab
ABOi liver transplantation, desensitization
myasthenia gravis, moderate-to-severe
myasthenia gravis, pre-thymectomy
paraproteinemic demyelinating polyneuropathies
PANDAS (sydenham's chorea)
polycythemia vera (erythrocytapheresis)
ABO compatible renal transplant, AMR
ABO compatible renal transplant, desensitization
sickle cell disease, acute stroke (RBC exchange)
TMA, ticlopidine-induced
Wilson's disease, fulminant
RheopheresisはDFPP(double-filtration plasmapheresis)のことで、血漿のうち高分子量の成分を選択的に除去する治療だ。Age-related macular degenerationでは、fibrinogen、LDL-C、fibronectin、vWFなどを除去して血液の粘稠度を下げ、網膜の血流を改善することが期待される。
ECPはextracorporeal photopheresisの略で、血液のある成分を体外に取ってきて、光で焼く治療だ。たとえばcutaneous T-cell lymphomaでは、CD4+のT細胞を選択的に取ってきて、8-methoxypsoralenで処理してから紫外線Aで焼き体内に戻すそうだ。
AIDP
age-related macular degeneration, dry (rheopheresis)
ANCA-associated RPGN, dialysis dependent
ANCA-associated RPGN, with diffuse alveolar hemorrhage
anti-GBM disease, with alveolar hemorrhage
anti-GBM disease, dialysis independent
babesiosis, severe
CIDP
cryoglobulinemia, severe
cutaneous T-cell lymphoma, erythrodermic (ECP)
familial hypercholesterolemia, homozygotes (LDL-apheresis)
FSGS, recurrent in transplanted kidney
atypical HUS, factor H antibody
hereditary hemachromatosis (erythrocytapheresis)
hyperleukocytosis (leukocytapheresis)
hyperviscosity in monoclonal gammopathies, symptomatic
hyperviscosity in monocloncal gammopathies, prophylaxis for rituximab
ABOi liver transplantation, desensitization
myasthenia gravis, moderate-to-severe
myasthenia gravis, pre-thymectomy
paraproteinemic demyelinating polyneuropathies
PANDAS (sydenham's chorea)
polycythemia vera (erythrocytapheresis)
ABO compatible renal transplant, AMR
ABO compatible renal transplant, desensitization
sickle cell disease, acute stroke (RBC exchange)
TMA, ticlopidine-induced
Wilson's disease, fulminant
RheopheresisはDFPP(double-filtration plasmapheresis)のことで、血漿のうち高分子量の成分を選択的に除去する治療だ。Age-related macular degenerationでは、fibrinogen、LDL-C、fibronectin、vWFなどを除去して血液の粘稠度を下げ、網膜の血流を改善することが期待される。
ECPはextracorporeal photopheresisの略で、血液のある成分を体外に取ってきて、光で焼く治療だ。たとえばcutaneous T-cell lymphomaでは、CD4+のT細胞を選択的に取ってきて、8-methoxypsoralenで処理してから紫外線Aで焼き体内に戻すそうだ。
2014/01/22
血漿交換 3 (aka TTP)
さらにASFAガイドラインのTTPのところを読み、まずはADAMTS13がA disintegrin and metalloproteinase with a thrombospondin type 1 motif, member 13の略であることを知った(十年一昔というが、私が学生のときはこれを単にvWFのcleaving enzymeと習った)。そして、現在では診断はpentad(発熱、溶血性貧血、血小板減少、腎機能障害、意識障害)が揃わなくても、説明のつかない急性発症のMAHA(microangiopathic hemolytic anemia)と血小板減少で、他のTMA(DIC、悪性高血圧、HUS、幹細胞移植後など)が考えにくければ十分と学んだ。つまり、TTPはいまだ臨床診断ということだ(Br J Haematol 2012 158 323も参照)。
後天性TTPは多くの場合自己免疫で、抗ADAMTS13抗体(IgG4サブクラスが最も多い)があれば再発リスクというデータもあるようだが、いまだこの抗体を測定することは一般的ではない。膠原病、感染症、悪性腫瘍、薬剤、妊娠、骨髄移植などさまざまな病態が誘因になる。先天性TTPはADAMTS13欠損をもたらさうさまざまな遺伝子変異と関連している。
ASFAガイドラインは、TTPはほぼ致死的な病気だったのが、血漿交換によって致死率が10%以下にさがったと、治療の勝利を誇っている。もっともこれは後天性の場合(抗ADAMTS13抗体を除去する)で、先天性の場合は単にADAMTS13を補う意味で血漿、cryopricipitate、濃縮ADAMTS13などが投与されることもある。
どれだけの量で、いつまで血漿交換を続けるべきか?ASFAガイドラインはTPVの1-1.5倍量で毎日、血小板が15万/mm3を越え、LDHが基準値内で2-3日安定するまで行われることが多いと書いてある。UKガイドラインはTPVの1.5倍量を3日間、そのあとはTPVの1倍量と書いている。教科書には7日間とあった(が、日本は保険の都合で週3日なのだとか)。
抗ADAMTS13抗体産生を抑えるためにもっともよく用いられる補助治療はステロイドで、ASFAガイドラインは1mg/kg/dayと言う(UKガイドラインは1g/day methylprednisolone三日間を併記、また別の教科書には200mgから始めろと書いてある)が、有効性はどのみち確立していない。
再発例には血漿交換のdoseを増やしてさらにrituximabが用いられ、あるスタディでは375mg/m2/weekを4回(Blood 2011 118 1746)。しかし、最近はrituximabがfirst-lineとしても用いられるようになってきた(J Thromb Thrombolysis 2012 34 347)。CNI、vincrisineなども文献はあるようだ。つづく。
後天性TTPは多くの場合自己免疫で、抗ADAMTS13抗体(IgG4サブクラスが最も多い)があれば再発リスクというデータもあるようだが、いまだこの抗体を測定することは一般的ではない。膠原病、感染症、悪性腫瘍、薬剤、妊娠、骨髄移植などさまざまな病態が誘因になる。先天性TTPはADAMTS13欠損をもたらさうさまざまな遺伝子変異と関連している。
ASFAガイドラインは、TTPはほぼ致死的な病気だったのが、血漿交換によって致死率が10%以下にさがったと、治療の勝利を誇っている。もっともこれは後天性の場合(抗ADAMTS13抗体を除去する)で、先天性の場合は単にADAMTS13を補う意味で血漿、cryopricipitate、濃縮ADAMTS13などが投与されることもある。
どれだけの量で、いつまで血漿交換を続けるべきか?ASFAガイドラインはTPVの1-1.5倍量で毎日、血小板が15万/mm3を越え、LDHが基準値内で2-3日安定するまで行われることが多いと書いてある。UKガイドラインはTPVの1.5倍量を3日間、そのあとはTPVの1倍量と書いている。教科書には7日間とあった(が、日本は保険の都合で週3日なのだとか)。
抗ADAMTS13抗体産生を抑えるためにもっともよく用いられる補助治療はステロイドで、ASFAガイドラインは1mg/kg/dayと言う(UKガイドラインは1g/day methylprednisolone三日間を併記、また別の教科書には200mgから始めろと書いてある)が、有効性はどのみち確立していない。
再発例には血漿交換のdoseを増やしてさらにrituximabが用いられ、あるスタディでは375mg/m2/weekを4回(Blood 2011 118 1746)。しかし、最近はrituximabがfirst-lineとしても用いられるようになってきた(J Thromb Thrombolysis 2012 34 347)。CNI、vincrisineなども文献はあるようだ。つづく。
2014/01/20
血漿交換 2 (aka TPV)
ABO不適合の脱感作で薦められる血漿交換の量と回数は?これも、施設によって異なる(交換量はTPVの1-1.5倍、交換はアルブミンまたはFFP、毎日または隔日で数回と書いてある)。TPVとはtotal plasma volumeの略で、Total blood volume×(1-Hct)だ。Total blood volumeは、Nadlerの方程式というのが最も正確だそうで、男性は0.3669 * Ht(in meter)^3 + 0.03219 * Wt(in kg)+ 0.6041、女性は0.3561 * Ht(in meter)^3 + 0.03308 x Wt(in kg)+ 0.1833。
しかし、さらに調べると近似したGilcher’s Rule of Fivesというのがあった。これは性別と体格で大体total blood volumeがわかるという優れものだ。男性なら60ml/kg(太り体型)、65ml/kg(やせ体型)、70ml/kg(普通体型)、75ml/kg(筋肉質体型)。女性なら55ml/kg(太り体型)、60ml/kg(やせ体型)、65ml/kg(普通体型)、70ml/kg(筋肉質体型)。
だから、たとえば普通体型でHctが40%の男性の1-1.5倍のTPV量は36-54ml/kgだが、実際にはこの計算をしている人はほとんどいないと思われる。これを交換するのに必要なFFPを、今度は単位に変換するのだが、これが紛らわしい。というのも、FFP一単位が120ml(全血200mlから取れる血漿量)と思ったら、480mlのことを慣習的に「5単位」というらしいからだ。だから、当座は単位よりmlで表現したほうがよさそうだ。
しかし、さらに調べると近似したGilcher’s Rule of Fivesというのがあった。これは性別と体格で大体total blood volumeがわかるという優れものだ。男性なら60ml/kg(太り体型)、65ml/kg(やせ体型)、70ml/kg(普通体型)、75ml/kg(筋肉質体型)。女性なら55ml/kg(太り体型)、60ml/kg(やせ体型)、65ml/kg(普通体型)、70ml/kg(筋肉質体型)。
だから、たとえば普通体型でHctが40%の男性の1-1.5倍のTPV量は36-54ml/kgだが、実際にはこの計算をしている人はほとんどいないと思われる。これを交換するのに必要なFFPを、今度は単位に変換するのだが、これが紛らわしい。というのも、FFP一単位が120ml(全血200mlから取れる血漿量)と思ったら、480mlのことを慣習的に「5単位」というらしいからだ。だから、当座は単位よりmlで表現したほうがよさそうだ。
2014/01/17
血漿交換 1 (aka ABOi kidney transplant)
じつは、私が前にいた施設では血漿交換を病理部がやっていた。病理部というか、輸血部・検査部という感じだったが、とにかく腎臓内科は(血漿交換に使うカテーテルの挿入も含めて)タッチしなかった。これは改善されるべき問題で、さもなければフェローシップを卒業してから自分で学ばなければならない。
そんなわけで、ABO不適合の移植前血漿交換はAB型のFFPで置換する、とか聞いても最初は「何のことやら」だった(抗A、抗B抗体をふくまない血漿を選択するといわれれば納得だが;そもそもABO不適合移植じたい、前いた施設では少なくとも私がいた2年間では1件もなかった…レクチャは受けたが)。それで、いま勉強している。
たとえばABO不適合移植の場合、昔は脾摘していたがRituximabを使うようになってからはしないという歴史的な背景、Rituximabは200mg投与が多い(が人により100mgだったり500-1000mgだったり、1回だったり複数回だったりする)、血漿交換は抗A・抗B抗体が16倍以下を目標にしている、などについて論文で読んだ(Transplantation 2011 91 853)。
またASFA(American Society for Apheresis)によるガイドライン(J Clin Apher 2013 28 145)も入手した。この文献は、ABO不適合の移植前脱感作をRecommendation Grade 1B、Category Iに分類しているのみならず、教科書的記述もあって分かりやすい。
まずABO不適合にはmajor incompatibility(レシピエントの抗A・抗B抗体によりドナー臓器の内皮細胞にあるA抗原・B抗原が攻撃され超急性・急性の体液性拒絶を起こす)、minor incompatibility(ドナー臓器に含まれるリンパ球が抗A・抗B抗体を産生してレシピエントに溶血性貧血を起こす)がある。
Rituximabが主流だがbortezomibなどほかの免疫抑制剤が用いられることもあるし、これらの他にステロイド・MMF・CNIなども用いられるが、universalなレジメンはない。移植後に抗体価があがってくることはあるが、それらが全てAMR(antibody-mediated rejection)なわけではない(PPVは低いがNPVは高いということ)。腎生検でのC4d positivityについても同様で、それすなわちAMRなわけではない。つづく。
そんなわけで、ABO不適合の移植前血漿交換はAB型のFFPで置換する、とか聞いても最初は「何のことやら」だった(抗A、抗B抗体をふくまない血漿を選択するといわれれば納得だが;そもそもABO不適合移植じたい、前いた施設では少なくとも私がいた2年間では1件もなかった…レクチャは受けたが)。それで、いま勉強している。
たとえばABO不適合移植の場合、昔は脾摘していたがRituximabを使うようになってからはしないという歴史的な背景、Rituximabは200mg投与が多い(が人により100mgだったり500-1000mgだったり、1回だったり複数回だったりする)、血漿交換は抗A・抗B抗体が16倍以下を目標にしている、などについて論文で読んだ(Transplantation 2011 91 853)。
またASFA(American Society for Apheresis)によるガイドライン(J Clin Apher 2013 28 145)も入手した。この文献は、ABO不適合の移植前脱感作をRecommendation Grade 1B、Category Iに分類しているのみならず、教科書的記述もあって分かりやすい。
まずABO不適合にはmajor incompatibility(レシピエントの抗A・抗B抗体によりドナー臓器の内皮細胞にあるA抗原・B抗原が攻撃され超急性・急性の体液性拒絶を起こす)、minor incompatibility(ドナー臓器に含まれるリンパ球が抗A・抗B抗体を産生してレシピエントに溶血性貧血を起こす)がある。
Rituximabが主流だがbortezomibなどほかの免疫抑制剤が用いられることもあるし、これらの他にステロイド・MMF・CNIなども用いられるが、universalなレジメンはない。移植後に抗体価があがってくることはあるが、それらが全てAMR(antibody-mediated rejection)なわけではない(PPVは低いがNPVは高いということ)。腎生検でのC4d positivityについても同様で、それすなわちAMRなわけではない。つづく。
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