2014/01/22

血漿交換 3 (aka TTP)

 さらにASFAガイドラインのTTPのところを読み、まずはADAMTS13がA disintegrin and metalloproteinase with a thrombospondin type 1 motif, member 13の略であることを知った(十年一昔というが、私が学生のときはこれを単にvWFのcleaving enzymeと習った)。そして、現在では診断はpentad(発熱、溶血性貧血、血小板減少、腎機能障害、意識障害)が揃わなくても、説明のつかない急性発症のMAHA(microangiopathic hemolytic anemia)と血小板減少で、他のTMA(DIC、悪性高血圧、HUS、幹細胞移植後など)が考えにくければ十分と学んだ。つまり、TTPはいまだ臨床診断ということだ(Br J Haematol 2012 158 323も参照)。

 後天性TTPは多くの場合自己免疫で、抗ADAMTS13抗体(IgG4サブクラスが最も多い)があれば再発リスクというデータもあるようだが、いまだこの抗体を測定することは一般的ではない。膠原病、感染症、悪性腫瘍、薬剤、妊娠、骨髄移植などさまざまな病態が誘因になる。先天性TTPはADAMTS13欠損をもたらさうさまざまな遺伝子変異と関連している。

 ASFAガイドラインは、TTPはほぼ致死的な病気だったのが、血漿交換によって致死率が10%以下にさがったと、治療の勝利を誇っている。もっともこれは後天性の場合(抗ADAMTS13抗体を除去する)で、先天性の場合は単にADAMTS13を補う意味で血漿、cryopricipitate、濃縮ADAMTS13などが投与されることもある。

 どれだけの量で、いつまで血漿交換を続けるべきか?ASFAガイドラインはTPVの1-1.5倍量で毎日、血小板が15万/mm3を越え、LDHが基準値内で2-3日安定するまで行われることが多いと書いてある。UKガイドラインはTPVの1.5倍量を3日間、そのあとはTPVの1倍量と書いている。教科書には7日間とあった(が、日本は保険の都合で週3日なのだとか)。

 抗ADAMTS13抗体産生を抑えるためにもっともよく用いられる補助治療はステロイドで、ASFAガイドラインは1mg/kg/dayと言う(UKガイドラインは1g/day methylprednisolone三日間を併記、また別の教科書には200mgから始めろと書いてある)が、有効性はどのみち確立していない。

 再発例には血漿交換のdoseを増やしてさらにrituximabが用いられ、あるスタディでは375mg/m2/weekを4回(Blood 2011 118 1746)。しかし、最近はrituximabがfirst-lineとしても用いられるようになってきた(J Thromb Thrombolysis 2012 34 347)。CNI、vincrisineなども文献はあるようだ。つづく。