映画『BRAVE HEARTS 海猿』(2012年)は、故障した飛行機を海上着水させて乗客乗員をレスキューする感動的な話だが、季節は触れられていない。低体温の話がでなかったので、おそらく夏だったのだろう(話は東京湾だが、ロケ地は福岡のようだ)。
さて、今いる場所は北緯26度、冬でも最低気温は平均14~16℃だが、それでも体温よりは低い。だから、事と次第によっては(たとえ普段着で海に飛び込むとかそういう奇想天外なことをしなくても)低体温症は起こる。
それで血液透析患者さんの低体温症を診ることもあるわけだが、ここで少し問題がある。というのも、暖かい毛布はいいとして、温生食は体液過剰になってしまうし、膀胱洗浄は膀胱が萎縮しているので出来ない。ECMOも腹腔洗浄も侵襲的だ。
そこで誰しも考えるのが、血液透析による復温だろう。実際、腎機能が正常でも異常でも血液透析が試された報告例はある(CJEM 2009 11 174)し、NEJMの低体温レビュー(NEJM 2012 367 1930)にも、アルゴリズムには載ってないが紹介されている。
透析液の温度は?HDよりHDF/HFのほうが置換液を直接身体にいれるからいいの?CVVHDFは?チュービングも温めたほうがいいの?質問は尽きないが、前述の症例報告をしたカナダのグループがliterature reviewしてもあまり引っかからなかったようだ。