2020/05/16

総力戦

 毎週木曜日に更新されるものといえば? 

 −NEJMの最新号がweb pageに登場する日

 私も読者の1人である。中でも「case records of MGH」はいつも興味深い臨床推論が展開されて楽しみにしている。そんな中、今週の症例(DOI: 10.1056/NEJMcpc2002418)が一際目をひいた。

 題名は、AKIを合併した68歳男性のCOVID19患者の経過である。
 
 普段であれば「case records of MGH」は病歴から鑑別、診断、治療、経過ととにかく臨床医の頭の中を言語化してくれている。
 
 しかし、今回のcase recordは少し趣きが異なる。

 ・たった数ヶ月で様々な知識が不完全ながら集約してきた様子
 ・目の前の患者の臨床医の苦悩
 ・社会背景まで考慮した考察

 この論文の中でも、

 ・腎臓自体へのCOVID19の直接障害
 ・凝固障害
 ・透析条件
 ・限りあるリソース

 などの問題点が挙げられている。COVID19の知識の確認はここを確認していただきたい。

 ところで、この患者は結局どうなったか?

 最終的にはリハビリテーション施設へ無事転院した。

 ほっとした。
 
 今、まさしく全世界がCOVID19と戦っている。

 総力戦を描き上げた、そんなcase recordだった。

 なお、同じ号のClinical practice(DOI: 10.1056/NEJMcp2009575)も参照