ICUに入ってきたSeptic shockの患者で、待てども尿が出ない。あるいは、ICUにAKI患者が入るといつの間にかCRRTが始まっている。そんな経験をした方はたくさんいるだろう。
直ちにRRT開始を迫られる適応(改善に乏しいアシドーシスや高K血症)が併存している場合は、特に深く考えることなくRRTを開始することになる。ただ、そうでない場合は?すなわち、AKI患者におけるRRT開始の最も良いタイミングは?は永遠のテーマになりつつある。
これまでのまとめは、本ブログの〜急性血液浄化を考える〜上巻を参考にされたい。
今回は上記の話題に対する新しい論文の紹介である。今週のNEJMにAKI+sepsis患者のRRTのタイミングというRCT(IDEAL-ICU trial)が出た。少なくともRIFLE criteriaでFailure stageのAKIと診断された患者群において、early strategy群(RRT開始12時間以内)とdelayed strategy群(高K血症>6.5、pH<7.15、体液過剰が起きない限りRRT開始を待ち、48時間の時点で開始)とでPrimary outcome の90日生存に差はなかったというものである。
ただこれまでの研究同様、患者背景、RRTの設定、またdelayed群では自然に腎機能が回復した症例もあり、厳密な批判的吟味は必要な論文であることには変わりない。
みなさんはこの論文を見て、自分の診療にどのように還元するだろうか。
元論文より引用