2012/12/19

DGF

 DGF(Delayed Graft Function)とは、移植後一週間以内に(どんな理由であれ一度でも)透析を要した場合を言う。だから雑多な病態が混ざっているわけだが、たいていは術後に満足いく尿量とクリアランスが得られない移植腎の機能不全が背景にある。

 これをDelayedというのは「移植腎のもつ本来の機能は悪くないが、ただそれを発揮するのが遅れているだけ」と考えられたからだ。しかし、最近の研究でDGFはSCD(standard criteria donor)、ECD(extended criteria donor)を問わず拒絶反応とgraft lossの独立したリスク因子と考えられている(AJT 2011 11 2279より)。

 その機序はいろいろだが(やはりAJT 2011 11 2279より)、まあ虚血後再潅流障害がメインと考えられている。それで移植腎を守るためにDBD(donation after brain death)でDopaminを流したり(Heme Oxygenase-1を増やしてフリーラジカルを減らすため)、抗凝固剤を流したり(ヘパリンが通例だが、melagatranがよかったという報告も)する。

 ほかにも特別な潅流液を流したり、procurement後もポンプで潅流液で潅流を続けたりする。潅流液はUW液(University of Wisconsin)とHTK液(Histidine–Tryptophan–Ketoglutarate)が主流だが、比べたら長いCIT(cold ischemia time)例にはUW液のほうが優れていた。アデノシン(ATP補充)を多く含むためと考えられている。