東洋医学で医食同源とか身土不二(신토불이、シントブリ)とかいうし、西洋はyou are what you eatとか言うけれども、腎臓内科ほど栄養・食事と深く関わる科もそうないのかなと思う。なかでもリンは、透析であまり除けないのに多くの食品に入っているので、その人ごとにあわせた工夫が必要だ(最近は大手コンビニでもパンや加工食品のリンを減らしているところがある)。
それで腎臓系で栄養系の雑誌というのもたくさんあって、以前に肉をさまざまな方法で調理することでリン残量が変わるかをみた論文(J of Renal Nutrition 2015 25 504)があった。結果、薄切りした肉を圧力鍋で茹でるとリンがもっとも落ちたという。煮汁は捨てなければならないだろうから、どう味を保つかは別問題だが(フルで論文を読めば提案してあるかもしれない)。
なお、これは日本の研究だ。見なくてもわかる。薄切り生肉は東アジアの食文化だと思われるからだ。米国のスーパーや肉屋にいっても薄切りした生肉はみない(ハムなどの塩漬け肉、ローストビーフのような調理済みの肉は除く)。東アジア食材店にいけば、ある。どうしてだろう。
明治時代に日本人の口に合うよう肉をスライスしたのかと思ったが、肉食がもともとさかんな中国や韓国でもスライスしている。なます(膾、회、フェ)とか。お箸でつかみやすいからだろうか(ナイフやフォークは東洋にはなかったと思われるので)。東洋の包丁がスライスにもっとも適しているからだろうか。タレなどの味付けがよく滲みるのだろうか。