2016/10/10

アミロイドーシスについて



今回アミロイドーシスを書こうと思ったのは単純にアミロイドーシスを診療していて、よくわかってないなと思ったのがきっかけである。
アミロイドって自分の身近になくイメージがつかみにくく、イメージがつかみにくいから病気もつかみにくいのかなと思ったので復習もかねて書こうと思った。

・アミロイドとは・・
以前はヨウ素デンプン反応と似た反応をすることからデンプン(ラテン語でamylum)と関係があると思ってつけられたものであるが、本体はある種のタンパク質である。
タンパク質は産生されると特定の形に折りたたまれる(フォールディング)が、この折りたたみの異常(加齢や慢性炎症や遺伝など)が生じると、異常なタンパク質が生じ、異常なものは除去される。
しかし、異常なたんぱく質ができるのが多すぎたりすると除去しきれず疾患の発症につながる。これがアミロイド-シスの根本である。


・歴史:19世紀から知られているが、理解が深まったのはここ数十年といわれている。
アミロイドーシスはまれな疾患であるが、一つには我々の認知不足もあるのかもしれない。そのためにこの疾患の理解を深め、しっかりと患者をみれるようになりたい。



・アミロイドの頭文字:
アミロイドは上にAAやALなどの頭文字がついているが、これは最初のA:アミロイドを意味し、次のAAのAは血性アミロイドA、ALのLはL鎖抗体由来アミロイドを指す。ATTRはトランスサイレチン由来のアミロイドを示す(下図参照)。


図:全身性アミロイドーシスの分類



















・アミロイドーシス:
アミロイドタンパク質は血流に蓄積するため、最終的に臓器や組織に沈着する。結果として生まれるアミロイド線維が、多臓器の障害を引き起こしたり、体内の一部位に局在したりする可能性がある。アミロイドは通常、腎臓、心臓、神経に沈着し、時には肝臓、脾臓、消化管や気道に影響を及ぼすこともある。
全身に沈着するものを全身性アミロイドーシス、特定臓器に沈着するものを限局性アミロイドーシスと呼ぶ。

今回は簡単にAAとALについて述べる。
私が混乱するのはおそらくはどのように産生されるか、疾患をどのように考えるかがわかっていなかったのが一番であると思う。読者の中にはそのような方もいると思うので、少しでも参考になればありがたい。

どこでできる?:ALの前駆蛋白は骨髄で産生されるもので、AAは循環血中の炎症性蛋白であり血中で産生されることが大きく異なる。

・ALでは多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症を探すための検査(SPEP,UPEPや骨髄穿刺・生検)をする必要がある。
・AAでは血中でできるので基礎となる炎症を惹起する関節リウマチ、血管炎、Castleman病、自己免疫疾患などを精査する必要がある。

・診断:臨床症状や所見から疑い、組織で光顕でCongo-red染色陽性や電顕でのアミロイド繊維を見つけることである。AAとALは過マンガン酸処理でALは染色性が消失し、AAでは染色性が保たれる特徴を持つ。ただ、ALでも陽性になることがあり、診断には悩むことが多い。DFS染色なども有効とは言われる。
しかし、どの型なんだろうと悩むことは大いにある。そのような症例に当たった際には、病型診断を手助けするために信州大学(支援サービス)や熊本大学(支援サービス)があるので、利用するといいと思う。

今回は論文的なことではなく、自分の復習と情報整理を中心に書かせていただいた。

我々にとってアミロイドーシスは目には見えない疾患であり、多臓器が侵されてくる場合もあり、腎臓内科医として総合的な判断が必要になってくる疾患である。