代謝性アルカローシスの腎外性の原因に結腸絨毛腺腫があることは以前に触れたが、そこで止まっていた。しかし調べると、大量の体液喪失により腎前性腎不全・アニオンギャップ開大アシドーシス・横紋筋融解症・(低K血症にともなう)不整脈まできたす重症なものには特別にMcKittrick-Wheelock syndromeという名前がついているそうだ。
1954年に初めて報告され、以来消化器系の雑誌に"rare cause of diarrhea"という報告が無限に出されている(からどれくらいレアなのかわからない)。しかし腎臓内科系の雑誌にはほとんど報告がないので大量の体液分泌の機序がよくわからない。どの論文も「腺腫(場合によっては癌化していることも)を取ったらよくなりました」で終っている。
Prostaglandin E2の過分泌によるもので、COX inhibitorを使って治療することもあると書いた論文があった(Surg Endosc 2014 28 2247)が、出典がない。COX inhibitorを使えば腺分泌は抑えられるかもしれないが輸入細動脈も締まってしまうとおもうが。酸塩基平衡をちゃんと読んで病歴を聴いていれば、いつかは下痢と腎前性腎不全の症例で出会うかもしれない。