2015/11/24

Nibs and Mabs

 VEGF阻害剤(Sorafenib、Sunitinib、Pazopanib、Axitinib、Cabozantinib、Bevacizumab…それぞれ作用機転は異なるが結局VEGFシグナリングを止める)を受けた後の転移性腎細胞癌症例に対して抗PD-1モノクローナルIg4のNivolumab群が、mTOR阻害剤のEverolimus群よりも生存期間が長かったというスタディを教えてもらった(NEJM 2015 373 1803)。

 興味深かったのは腫瘍細胞にPD-1Lが発現していてもいなくても治療効果に差がなかったことだ。PD-1のスイッチを入れT細胞を不活化するのはPD-1Lだけではないのかもしれない。

 ただmTOR阻害剤が転移性腎細胞癌に限定的な効果しかないことはもうわかっているので、知りたいのはNivolumabが抗VEGF抗体(やIL-2療法…これはtoxicなのでもう余り見ることはない印象だがUpToDateはKarnofsky Performance Scoreが高いならこれをするべきといまだに書いている)よりも先に来る第一選択薬になりうるのか、ということだ。

 あとCabozantinibはVEGF阻害剤なだけでなく予後に関わるMET遺伝子とAXL遺伝子も止めるので、他の抗VEGF抗体治療後の第二選択として使えないかMETEORスタディが組まれているが、CabozantinibとNivolumabの直接比較試験はないのでどちらがいいかわからない(UpToDateはNivolumabを使えない場合にCabozantinibを使え;Grade 2Bとしている)。

 個人的には、この手の治療をする時には泌尿器医が腫瘍を生検するようだが、腎臓内科医がする腎生検とどう違うのかが興味深い。