うちの腎臓内科(卒業したが)でbakeするのは私だけかと思ったらスタッフにもいて、leavening agents(膨張剤)のなかでもbaking powderの話になった。Baking sodaもbaking powderも見た目は白い粉だが、両者の組成はだいぶ異なる。ちなみに私はコーンブレッドを作るのにbaking powderと間違えてbaking sodaを使うという(文字通り)苦い思い出がある。
Baking sodaは生地に酸を加えて膨張させるが、NaHCO3 + H+ → CO2 + H2O + Na+が直ちに起こるので生地を練ったらすぐさまオーブンに入れなければならない。それを解決するために、弱酸をあらかじめ混ぜておいて生地を練るのとオーブンで焼く二段階でCO2が出るように工夫したのがbaking powderだ。湿気に耐えるようでんぷんも含まれている。
どんな弱酸が入っているのか?生地を混ぜた段階で働くのがtartaric acidやmonocalcium phosphate。オーブンで働くのがsodium aluminum sulfate、sodium aluminum phosphate、disodium pyrophosphateなど。というわけで、baking powderは隠れたリンの摂取源だ。アルミニウムというのも、腎臓内科としては気になる。
というのも腎臓病患者さんはアルミニウム蓄積のリスクが高いからだ。もっともアルミニウムは効果的なphosphate binder(Ca×P bi-productが著しく高い例で短期にアルミニウムを用いることはある)なので、リンを吸着しているかもしれないが。ラットにビスケットを食べさせた実験データによれば食物含有アルミニウムのbioavailabilityは0.1%だった(Toxicology 2006 227 86)。