2013/07/18

アンモニアと腎 1/2

 我々は魚でないので、窒素老廃物をアンモニアのままにしておけない。1gのアンモニアを毒性レベル以下に希釈するには400mlもの水が必要だからだ(Journal of Experimental Biology 1995 198 273)。それで哺乳類は窒素排泄に尿素を用い、同時に尿素により腎の浸透圧勾配を形成し水保存を可能にしている。

 しかし私達はアンモニアに重要な役割を与えている。それは、酸排泄だ。H+をH+のまま尿に排泄するのには限界がある。尿pHを4まで下げても(血液・間質の約1000倍だ)0.1mEq/L、一日に1mEqも排泄できない。不揮発酸にbufferさせるのにも限界がある。それを越えた酸排泄は、NH4+で行われる(腎臓はNH4+をたくさん作ることが出来る)。

 Eastern Carolina UniversityのTejas Desai先生が主宰するNephrology On Demandの明快レクチャ10-minutes roundsでは尿細管を財布に例えて「H+(と不揮発酸)は現金、NH4+はクレジットカード」と説明する。支払うべきお金すべてを現金で財布に詰め込むのは不可能だから、大きなお金はクレジットカードで決済するというわけ。では、腎臓はNH4+をどのように産生・排泄しているのか?続く。