2019/09/30

腎機能低下後の糖尿病管理。メトホルミン製剤治療継続の有用性?

今回の話題は

糖尿病で治療継続中で、徐々に腎機能が低下している患者さん。
糖尿病に関しては、コントロールはそんなに悪くない。経口血糖降下薬単剤でコントロールできている。

「腎機能低下していなければ、メトホルミンはエビデンスあるなあ。」

「でも、腎機能低下してきたな。。経口血糖降下薬としては何を使おう?? やっぱりメトホルミン?」

メトホルミンに関してはUKPDSでSU剤やインスリン単独治療に比べて血管障害の発生頻度を減少させたという報告(正常腎機能患者)がされている(Annals of Internal medicine 2012)。

では、腎機能が低下した患者さんにも同様の効果はあるのか?

ADAガイドラインの推奨ではCKD患者さんで
eGFR<30の患者さんには推奨なし
30<eGFR<45の患者さんは治療のリスクと効果を確認しながら、メトホルミンの使用を推奨している。

今回、JAMAにこの疑問に対しての論文が掲載されていた。
この論文はコホート研究で、2002年1月1日~2015年12月30日までの退役軍人のデータを用いている。
新規糖尿病診断患者で、eGFR<60未満、新規糖尿病薬はSU剤かメトホルミンの患者さんを対象とした。

アウトカムとしては複合アウトカムでMACE(major adverse cardiovascular events)を見ている。

結果は下記のグラフのようになった。



この研究には様々なlimitationは存在するが、糖尿病治療を単剤で使用している患者さんで腎機能低下しても、ガイドラインでの推奨の数値も確認をしながら、メトホルミンの継続をすることは、患者さんのリスクを考えてみても大切なことなのかもしれない。


追加:
週1回使用のDPP4阻害薬のトレラグリプチンコハク酸塩の禁忌から「高度腎機能障害患者または透析中の末期腎不全患者」が削除され慎重投与の項目に「中等度以上の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者」になった。