2019/02/16

AKIにおける透析のタイミング

 以前にもこの話題に関しては、腎臓内科が必要とされる時で触れたが少しアップデートした話題もあるので、触れたいなと思う。

 AKIは様々な原因で生じる。そして、原因検査を行いながら原因に応じた治療を行なっていく。

 例えば、嘔吐・下痢を繰り返してAKIになった症例であれば、バイタルを測定し適切な補液を行えば改善する可能性が高い。

 ただ、適切な治療を行なっているにも関わらずAKIの重症度が高かったり、AKI罹患期間が長かったりした場合には透析を必要となる場合が多い。

 AKIに対する薬物治療は、様々なものが試されているが有用なものは出ていない。

 今も、敗血症AKIに対してAlkaline phosphataseやL-カルニチン、入院中のAKIに対してビタミンD、尿毒素除去、ペントキシフィリンなどがon goingで行われている。

 透析時に考えるのは、いつ透析するの?何の透析をすればいいの?かと思う。

 ☆いつ透析?

 これに関しては、現時点では早期にやることの有用性は示されておらず緊急透析のindicationに入る前の段階で透析を行うことが重要になる。

 −例えば、適切な薬物治療を行なっているのに、血清K濃度が6mEq/Lを超えてきたり、著明なアシデミアが進行したり(pH<7.1)、体液過剰が進行し呼吸状態が悪化する場合などがいい例である。

 これに関しての裏付けのtrialは前回も記載したAKIKI trialとELAIN trialがあり、下記の表と前回の話を確認してもらいたい。



 ELAINで早期群の有用性が示されたが、単施設であり目立たないバイアスなどが、過剰に早期群の有用性を示しているのではないかと言われている。

 JAMA2016の早期透析は健康?という論文は面白いので添付しておく。

 2018年にNEJMに敗血症によるAKIに対しての早期透析の有用性についての検証もされている。

 この論文ではフランスの29施設のICUの488人の早期敗血症に重度AKI(RIFLE分類でFailureに入っているもの)を伴う患者に対して行われ、早期群にはAKI後12時間以内、晩期群はAKI後48時間以上して透析を行なったものである。

 晩期群では有意差はなかったが、早期群に比べ高カリウム血症の発生があったり、代謝異常が起きたりなどはあったが、90日死亡率に有意差は認めなかった。




 この話題に関しては、現在STARRT-AKI(NCT2568722)も行われており、今後の検証が待たれる。

 ☆何のmodality?

 これに関しては、腹膜透析は今回は割愛し、IHD(intermittent hemodialysis)、CRRT(continuous renal replacement therapy)、SLED(sustained low-efficiency hemodialysis)に関してどれがいだろうか?ということに関して話していく。

 これは現時点では、どれが有意というものは示されてはいなく、その施設の経験や慣れているものを用いるのがいいのではとされている。


 この分野はおそらく今後も調べられていく分野であり、我々も常にアップデートしていく必要性があるなと感じた。