検索キーワード「AKIKI」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「AKIKI」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2017/12/22

腎臓内科が必要とされるとき~急性血液浄化を考える~上巻

腎臓内科医が必要とされる場面は多いと思う。


尿異常、電解質異常、慢性期管理も依頼されるが、やはり急性期の場面で患者さんのアウトカムを救うことは重要なことだと考える。


その中で、今回急性血液浄化に関して考えたいと思う。


AKIで急性血液浄化療法を依頼される場面は多い。ポイントは以下の点と考える。
①いつから開始するか?
②どんな透析方法をもちいるか?
③いつ終了するか?
④抗凝固療法やアクセスの問題?


順を追って話す。
①いつから開始するかに関しては以下のものが考慮される。
・腎代替療法で生命の改善が得られる場合
・絶対適応がある場合


絶対適応に関しては、
・高度アシドーシス(pH≦7.15)
・高尿素窒素血症(BUN≧100mg/dL)、尿毒症症状(脳炎・心膜炎・出血傾向)
・高カリウム血症(K≧6mEq/Lや心電図異常)
・高Mg血症(Mg≧4mEq/L、無尿、深部腱反射消失)
・尿量の減少(乏尿<200ml/12Hや無尿)、体液過剰(利尿薬反応なし)


などになってくる。


たとえば、患者さんにフロセミドを高用量投与しているが、全く尿の反応がない場合は急性血液浄化療法の施行を考えなくてはならない。


では、早期にやった方が良いかに関してはKI2015にでており見ていただくといいが、生命予後・維持透析・ICU入室・入院期間のいずれのアウトカムに対しても有意な差は認めなかった


2016年に有名な論文が二つ出ている。
AKIKI trial(NEJM 2016)
ELAIN trial(JAMA2016)
である。


この2つに関しては、結論ではAKIKI trialは早期群と晩期群では差は認められず、ELAIN trialでは早期群に有意な差をもって良い結論が出た。
結論だけでなく背景も非常に大切である。


AKIKIでは多施設で主に敗血症患者(8割)に対して早期群:KDIGOstage3、晩期群:緊急急性血液浄化療法も基準を満たす場合とした。


ELAINでは単施設で主に銃後患者(5割)で早期群はKDIGO stage2+NGAL、晩期群はKDIGOstage3の患者群をとっている。


なので、正直患者群にもばらつきがあるため、何とも言えない。
最近、重症度で分けてみて急性血液浄化をした場合に、早期群と晩期群はどうかというメタアナリシスがあった(Oncotarget 2017
図を示す。左が重症患者、右が非重症患者である。


この論文では、重症患者には早期にやった方がよかったという結論であった。非重症患者では早期にやっても変わらないというものであった。

なので、個人的には絶対適応であればやる!また重症患者は急性血液浄化をおこなう閾値を下げてもいいのでは?とおもった。

また、1つの話で終わってしまった。次回は、どんな透析方法かを話したいと思う。




2020/07/30

重症AKI時の透析緊急導入に対する現時点での考え方

今回は、急性腎不全における透析開始時期に関して触れたいと思う。これは数年前から腎臓内科領域ではとてもHotな話題である。

この話をするときに2020年の2つの論文は要チェックしておく必要がある。
1つ目はSTARRT-AKI(NEJM 2020)である。

この研究はICU患者で重度AKI(KDIGO 2・3)の患者に対して積極的透析導入群と通常導入群を比較したRCTになっている。
対象患者は18歳以上。積極的導入群で1465人、通常導入群で1462人であった。
各導入群の詳細に関して:
・積極的導入群:
  研究に組み込まれて12時間以内に透析導入をした群

・通常導入群:
  いわゆる透析導入のAEIOU(A:Acidosis、E:Electrolyte disorder、I:Intoxication、O:Overload、U:Uremia)を満たしたもの+AKIが72時間以上持続するもの。具体的には下記を満たしたものである。
 ・K > 6.1mmol/L、pH < 7.21、HCO3 < 12.1mmol/L、臨床で体液過剰を疑いP/F ratio <
201、AKIが72時間以上持続する場合に導入とした。

結果:
積極的導入群の96.8%、標準導入群の61.8%が透析が実施された。
・90日死亡率では差がなく
・90日時点で生存している患者の透析依存率は積極的導入群で10.4%、通常導入群で6.0%(有意差有り)であった。
・有害事象は積極的導入群の23%、通常導入群の16.5%(有意差有り)に生じている。

この試験の結論として、重症AKIに対しての積極的な透析導入は有効ではないことが示された。


過去の大規模試験ではELAIN試験(JAMA 2016)では有効、AKIKI試験(NEJM 2016)では無効、IDEAL-ICU試験(NEJM 2018)では無効という結果が出ている。


他にも規模は小さいが、同じような研究が行われておりそれをまとめたのが
2つ目の論文(LANCET 2020)になる。

このSystematic reviewでは、2008/4/1〜2019/12/20までの重度急性腎不全に対する積極的透析開始と通常透析開始の有用性を見ている研究を対象に行なっている。
下記の10個の研究(2083人の患者)を組み入れて行なっている。

LANCETより引用
LANCETより引用
LANCETより引用
・Primary outcomeはランダム後28日での全死亡率

・Secondary outcomeは28日後以降の死亡、60日・90日後での全死亡率、院内死亡率、入院期間、28日以降での透析してない日数、退院時の透析依存数、退院時の血清クレアチニン、28日以降での人工呼吸器や昇圧剤未使用日数を見ている。

研究は異質性も少なく、Appendixを見てもFunnel plotも出版バイアスも少ない研究である。
結論としても、Primary, secondary outcomeとも違いは出なかった。
下記が結果になる。
LANCETより引用

LANCETより引用

つまり、2020年の段階では重症AKIに対して積極的導入を推奨することはできず、しっかりと患者モニタリングをしながら透析が必要な場合に透析を行うことが現段階の流れである。

これらの研究は、非常に腎臓内科・集中治療領域にとっても重要であると思う。
なんでも早めに透析をすればいいものではないし、しっかりと透析が必要な時期に透析を行う。そして、大事なのは見極める臨床の力であり、我々も日々それを鍛えながら診療をしていかなくてはならない。



2019/02/16

AKIにおける透析のタイミング

 以前にもこの話題に関しては、腎臓内科が必要とされる時で触れたが少しアップデートした話題もあるので、触れたいなと思う。

 AKIは様々な原因で生じる。そして、原因検査を行いながら原因に応じた治療を行なっていく。

 例えば、嘔吐・下痢を繰り返してAKIになった症例であれば、バイタルを測定し適切な補液を行えば改善する可能性が高い。

 ただ、適切な治療を行なっているにも関わらずAKIの重症度が高かったり、AKI罹患期間が長かったりした場合には透析を必要となる場合が多い。

 AKIに対する薬物治療は、様々なものが試されているが有用なものは出ていない。

 今も、敗血症AKIに対してAlkaline phosphataseやL-カルニチン、入院中のAKIに対してビタミンD、尿毒素除去、ペントキシフィリンなどがon goingで行われている。

 透析時に考えるのは、いつ透析するの?何の透析をすればいいの?かと思う。

 ☆いつ透析?

 これに関しては、現時点では早期にやることの有用性は示されておらず緊急透析のindicationに入る前の段階で透析を行うことが重要になる。

 −例えば、適切な薬物治療を行なっているのに、血清K濃度が6mEq/Lを超えてきたり、著明なアシデミアが進行したり(pH<7.1)、体液過剰が進行し呼吸状態が悪化する場合などがいい例である。

 これに関しての裏付けのtrialは前回も記載したAKIKI trialとELAIN trialがあり、下記の表と前回の話を確認してもらいたい。



 ELAINで早期群の有用性が示されたが、単施設であり目立たないバイアスなどが、過剰に早期群の有用性を示しているのではないかと言われている。

 JAMA2016の早期透析は健康?という論文は面白いので添付しておく。

 2018年にNEJMに敗血症によるAKIに対しての早期透析の有用性についての検証もされている。

 この論文ではフランスの29施設のICUの488人の早期敗血症に重度AKI(RIFLE分類でFailureに入っているもの)を伴う患者に対して行われ、早期群にはAKI後12時間以内、晩期群はAKI後48時間以上して透析を行なったものである。

 晩期群では有意差はなかったが、早期群に比べ高カリウム血症の発生があったり、代謝異常が起きたりなどはあったが、90日死亡率に有意差は認めなかった。




 この話題に関しては、現在STARRT-AKI(NCT2568722)も行われており、今後の検証が待たれる。

 ☆何のmodality?

 これに関しては、腹膜透析は今回は割愛し、IHD(intermittent hemodialysis)、CRRT(continuous renal replacement therapy)、SLED(sustained low-efficiency hemodialysis)に関してどれがいだろうか?ということに関して話していく。

 これは現時点では、どれが有意というものは示されてはいなく、その施設の経験や慣れているものを用いるのがいいのではとされている。


 この分野はおそらく今後も調べられていく分野であり、我々も常にアップデートしていく必要性があるなと感じた。