2017年8月28日月曜日

赤ちゃんに学ぶ 3

 FcRnは腎臓のどこにあるか?血管内皮、足細胞、皮質の集合管、そして近位尿細管に発現している(JASN 2000 11 632)。なかでも近位尿細管では刷子縁にあって、アルブミンを再吸収することができる。

 というのも、FcRnはIgGだけでなくアルブミンにも結合するからだ。血中に最も多く、IgGと同様に半減期のながいアルブミンも、FcRnと結合して分解を免れている(結合のしかたや場所はIgGと少しことなり、IgGのようにFcRnとのあいだに塩橋をつくったりはしないが)。

 とくにS1とよばれるより近位の部分では、clathrin-dependent endocytosisやfluid-phase endocytosis(pinocytosis、飲作用とも)によって尿細管内腔のさまざまな溶質分子が取り込まれる。このとき、リソソームによる分解からアルブミンを守り間質側に届けるのにFcRnが大事と考えられている(図はJASN 2014 25 443)。




 近位尿細管のFcRnには、糖化やカルバミル化をうけた処分すべきアルブミンをリソソームに送る働きもある。無傷のアルブミンとは内腔pHがさがるまで結合しないが、これらの不要なアルブミンとはpHが下がる前に結合し、リソソームに引っ張り込んで内腔pHがさがると離して分解させる(図は前掲論文)。




 しかし、そもそも糸球体はアルブミンを通過させないはずでは?教科書にも、陰性荷電とサイズによって糸球体はアルブミンをブロックすると書いてある。なので、前掲論文のタイトルは「近位尿細管とたんぱく尿:まじで!」だし、「このレビューには、糸球体バリアの役割が重要かどうかを議論する意図はない」と予防線を張るように前置きしている。

 FcRnから外れるから詳しくは論文を参照されたいが、アルブミンのGSC(糸球体ふるい係数)はいままで思っていたよりずっと高い(つまり漏れやすい)という研究結果もでている。近位尿細管の再吸収異常でアルブミン尿が出るのは事実だし(ラットでFcRnのない腎臓を野生型に移植するとネフローゼ様になる;JASN 2009 20 1941)、内皮細胞をコーティングするglycocalyxの関与もわかってきた。この領域は、これからも目が離せない。

 いっぽう、腎臓のFcRnとIgGの関係はどうか?つづく。