2017年8月23日水曜日

赤ちゃんに学ぶ 1

 赤ちゃんは、うまれたら初乳・母乳にたくさんふくまれている抗体を身体に取り入れる。これは主にIgAといわれるが、IgGも受け渡される。

 IgGは、赤ちゃんがお母さんのおなかのなかにいる時から胎盤を通じて届けられる。赤ちゃんにはFcRn(直訳すると新生児型Fc受容体だが、日本では胎児性と呼ばれる)があって、お母さんのIgGが結合して取り込むことができるからだ。

 FcRnはMHCクラスI分子によく似ていて、H鎖(p51)とL鎖(β2ミクログロブリン)が非共有結合でつながっている。でも、抗原提示をおこなう部分が閉じているのでその働きはない。その代わり、FcRnは細胞内に小胞として取り込まれたIgGがリソソームによる分解をうけないように守ってくれる。

 細胞内の小胞はプロトンポンプなどによって酸性になる(以前にふれた)が、FcRnのIgGとの結合親和性はpHがひくいほど高いので、結合してIgGを守ってくれる。そして小胞が細胞内輸送でふたたび細胞のそとにでるときにはpHがあがって、IgGを無傷で解放してくれる(図はJ Immunol 2015 194 4595、青いIgGが左から右に移動する)。




 同様に、母乳に含まれるIgGは、赤ちゃんの腸管(近位小腸といわれる)にあるFcRnと結合して体内に取り込まれる。


 …と、いきなり赤ちゃんとお母さんの話を始めたのには理由がある。以前に赤ちゃんとお母さんのことを取り上げた時も、母の愛と酸塩基平衡について紹介した。今回も、ちゃんと腎臓に関係ある。どういうことか?
 
 まず、FcRnはネズミの新生児で最初にみつかったから新生児型と名づけられたが、新生児になるまえの胎児にもあるし、新生児をすぎて大人になってもずっと発現している。では大人のFcRnは何をしているのか?続く。