2019/10/17

ネフローゼ症候群患者に実際に抗凝固療法を使う場合に。

今回は短めに。
実際にネフローゼ症候群の患者さんに抗凝固療法を使用する場合にどうすればいいのか?

原則は普通の患者であれば静脈塞栓症の治療と同等の量が推奨される。
低分子ヘパリンに関しては腎機能が低下、もしくは変動する人には注意して使用する。

抗凝固療法(抗血栓療法も含まれるが。。)の選択肢としては下記
・Albが2.0-3.0g/dL
 →アスピリン 75mg/day
・Alb<2.0g/dL
 →低分子ヘパリンやフォンダパリヌクスの1-2回/日の皮下注、もしくは未分化ヘパリンの静脈投与or皮下注、長期化するならワーファリンに変更
*DOACsに関してはまだ十分な臨床データが揃っていない。
を用いる。
投与量などは、日本循環器学会の深部静脈血栓症の診断・治療のPDF参照

では、腎生検前後に抗凝固療法をどのくらいの期間終了すればいいのか?に関しては、CJASN 2016のreviewが一番わかり易い。


上手の解像度が悪いが、低分子ヘパリンに関しては、24時間前に皮下注は終了して、再開は48-72時間後が一つの推奨である。

実際には未分化ヘパリン静注→生検時に中止→生検後2-3日で再開が多いと思う。静注の場合はずっと持続してつながっているので、患者さんのADLを落とす可能性は高い。
なので、個人的には皮下注で管理がいいのかなと思う。

何よりもしっかりと患者さんのリスクとベネフィットを考えて治療を行う必要がある。