「AKIコンサルト」ということで見てみたらCr 8mg/dl、著明な高リン血症、アシドーシス、貧血、超音波で腎萎縮があって「これはCKDでしょう」ということが往々にしてある。残念ながら原因検索をしてもマネジメントが変わらない(移植が考慮される場合は別だが)ので、透析までの期間をできるだけのばすCKDのマネジメントをすることになる。腎臓病は最後の最後まで症状が出ないので、医療受診をしない人ではこういうことが起こる。しかし、医療受診をしていても、半年前のCrが高値、それから無介入で月日は流れて腎廃絶にいたり発見されるというような信じられないこともあって悲しい。
[2018年11月追加]世界には、打ち捨てられて信じられないようなクレアチニン値でやってくる人々がいる。いずれも、筋肉量が多く、尿毒症でも食欲が落ちない若めの男性だ。アラブ首長国連邦の報告では20歳男性の61.3mg/dl(Hemodialysis International 2013 17 137)。米国では34歳男性の53.9mg/dl(Open Journal of Nephrology 2013 3 217)。小児科では米国の17歳男子(思春期の移行期だが)で、52mg/dlという報告がある(Case Reports in Pediatrics Volume 2015, Article ID 703960)。
前者ふたつの論文は「クレアチニンじたいには毒性がない」を結論にしているが、個人的には後者の「ここまで至る前に発見して治療するチャンスはいくらでもあった」のほうが、患者さん思いな結論で賛成だ。なお、ここまでいかなくても、尿毒素がたまってくると皮膚から析出し、これをUremic frostという(写真はNEJM 2018 379 669、クレアチニンは20mg/dlだった)。