2015年7月16日木曜日

Beeper

 スマホはおろか携帯もインターネットもメールもなかった時代がそう遠くないことが信じられないほど世界はever fasterであり、仕事時間というものもなくなってしまっている(24時間ハイテク機器にconnectされているから)。しかし、この世代の私達がどのように生きてけばいいのかを、だれも教えてくれない。ひとつのやり方は機械のように回転を速く速くして仕事に没頭することだが、それは不健康な結果をもたらすかもしれない。
 そんななか、米国医師が未だにおおかたポケベルを使用しているというのは興味深い事実だ。少しでも仕事から距離をおきたいということなのかもしれない。だから米国で医者をしたら、ポケベルに愛着が湧いてくる(日勤帯のあのコール、当直帯のこのコールが思い出されるから)。というわけで、Lancetに患者さんがAKIを発症したらチーム全員のポケベルにAKI alertを鳴らすという研究結果が発表された(Lancet 2015 385 1966)。
 しかし、結果はalert群とusual care群で死亡、透析、クレアチニン高値に差はなかった。AKI発症の定義は基本的にクレアチニンの上昇だったから、too lateである。それにalertを鳴らされたからといって、鳴らされないのに比べて先手を打ってできることはほとんどない(残念だが;腎毒性のある薬物を避ける、くらいしかない)。
 しかしalertというのは面白い考え方で、たとえばMRSAやC. difficileなどcontact precautionを要する菌をもつ患者のカルテにはその旨が大きく記載されるし、codeなども赤字で目立つようになっている。だから、eGFRが低値の患者さんではその旨を目だって表示する(たとえばCKD4期ならシャントのために右上肢からの採血やルート確保はしないなど対策ができる)などは有効かもしれない。