フェローシップのマッチングに参加したレジデンシー2年目の冬(いまは3年目だが)、そのあとボスになる恩師の先生と面接して「どうして腎臓内科には最近breakthroughがないのですか?」と聞いた。今思うと生意気な質問だが、そのとき先生がいくつか説明してくれた中に”kidney patients are poor”というのがあった。その時は分からなかったが、こないだ学会で「SES(socio-economic status)とCKD」というお話があって、納得した。
お話でいちばん衝撃だったのは、USRDSによる米国のESRDマップと、US Census Bureauによる貧困マップが酷似していたことだ。どちらも濃厚なのは南部(とくにミシシッピデルタ)、アパラチア山系、メキシコ国境など。実際、地域で貧困の率とESRDの有病率を見ると相関していた(JASN 2008 19 356)。
米国内の地域もさることながら、都市の中でも低教育、低収入、悪いneighborhood、移民・マイノリティの多い地域に疾患(と犯罪)が集積する。San Franciscoのsafety-net clinicでCKD患者さんを調べたら貧しいマイノリティ優位だったというデータもある(CJASN 2010 5 828)。私も街は違うがレジデンシー時代にクリニックがそういうエリアにあったので、保険がなかったり言葉が通じなかったりする患者さん達に行き届いたケアを提供するのに苦労した。
で、どうすればよいのか?ACA(affordable care act、別名Obama Care)がvulnerableな群の医療アクセスを改善するだろうか?医療アクセスがあがっても、人種・遺伝子・持って生まれたネフロンの数など変えられない要素もあるのだろうか?高貧困neighborhoodから低貧困neighborhoodに移るとsubjective well-beingが変わるという研究はあるが(Science 2012 337 1505)、objectiveな話はこれからみたいだ。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2013/11/28
2013/11/25
Soda and CKD
私が初めて米国の病院を訪れたときに、入院中の患者さんがソーダ(茶色くて甘い炭酸飲料水)を飲んでいるのに気づいた。しかも、年齢性別を問わずである。「米国ではソーダがお茶代わりなのか」と、アメリカ文化がアメリカ人に染み付いているという事に感心した。
さて、今回の学会では「ソーダ(あるいはダイエットソーダ)はCKDを進行させるか?」というお話が聴けた。HFCS(high-fructose corn syrup)は関税などにより砂糖の輸入価格が上昇したため、米国が自国で安価に生産できる代替品として生まれ、1970年代以降に使用量が激増した。ちょうどその時期から肥満が増えたため、原因として指差されている。
CKDでは、動物実験レベルで糸球体高血圧や内皮細胞ダメージ(Am J Physiol Renal Physiol 2007 292 F423)、ひいては糸球体硬化や尿細管障害をきたす(Am J Physiol Renal Physiol 2007 293 F1256)という。しかし、動物実験での摂取量はアメリカでの平均的な果糖摂取量よりはるかに高いので当てはまらないと主張する人達もいる(Adv Nutr 2013 4 246)。
ただ、食事カロリーの25%を果糖飲料にした群はグルコース飲料の群に比べてインスリン抵抗性が高まり内臓脂肪が増えたというヒトの実験データ(JCI 2009 19 1322)もあるし、痛風との相関を示したNHANESのデータ(JAMA 2010 304 2270)もある。機序は複雑だが、fructokinaseにより生じたfructose-1-phosphateが肝ATPを枯渇させ核酸分解を促進するという。
CKDについてはどうか?スタディ(KI 2010 77 609、CJASN 2011 6 160)によれば、一日2本以上ソーダを飲む群でeGFR低下との弱い相関があるかないか、という程度(レビューはACKD 2013 20 157)。しかし一日2本以上ソーダを飲む人達というのは、一緒にハンバーガーやピッツァも摂取していると思われる。
というわけで、皆が同意できそうな「ソーダの飲みすぎは不健康な食生活のマーカーで、健康な食生活をしたほうがよい」という結論で話は終わった。アトランタでWorld of Coca-Colaに行った後なので「やべ」と思ったが、「たまにならいいか」と思った。それから、NYCのBloomberg市長が提唱した映画館でのビッグサイズソーダ販売禁止案が通らなかったのを思い出し、「ソーダはアメリカ人の魂だな」と思った。
さて、今回の学会では「ソーダ(あるいはダイエットソーダ)はCKDを進行させるか?」というお話が聴けた。HFCS(high-fructose corn syrup)は関税などにより砂糖の輸入価格が上昇したため、米国が自国で安価に生産できる代替品として生まれ、1970年代以降に使用量が激増した。ちょうどその時期から肥満が増えたため、原因として指差されている。
CKDでは、動物実験レベルで糸球体高血圧や内皮細胞ダメージ(Am J Physiol Renal Physiol 2007 292 F423)、ひいては糸球体硬化や尿細管障害をきたす(Am J Physiol Renal Physiol 2007 293 F1256)という。しかし、動物実験での摂取量はアメリカでの平均的な果糖摂取量よりはるかに高いので当てはまらないと主張する人達もいる(Adv Nutr 2013 4 246)。
ただ、食事カロリーの25%を果糖飲料にした群はグルコース飲料の群に比べてインスリン抵抗性が高まり内臓脂肪が増えたというヒトの実験データ(JCI 2009 19 1322)もあるし、痛風との相関を示したNHANESのデータ(JAMA 2010 304 2270)もある。機序は複雑だが、fructokinaseにより生じたfructose-1-phosphateが肝ATPを枯渇させ核酸分解を促進するという。
CKDについてはどうか?スタディ(KI 2010 77 609、CJASN 2011 6 160)によれば、一日2本以上ソーダを飲む群でeGFR低下との弱い相関があるかないか、という程度(レビューはACKD 2013 20 157)。しかし一日2本以上ソーダを飲む人達というのは、一緒にハンバーガーやピッツァも摂取していると思われる。
というわけで、皆が同意できそうな「ソーダの飲みすぎは不健康な食生活のマーカーで、健康な食生活をしたほうがよい」という結論で話は終わった。アトランタでWorld of Coca-Colaに行った後なので「やべ」と思ったが、「たまにならいいか」と思った。それから、NYCのBloomberg市長が提唱した映画館でのビッグサイズソーダ販売禁止案が通らなかったのを思い出し、「ソーダはアメリカ人の魂だな」と思った。
2013/11/13
開会式で
学会のopening sessionは、会長による危機感のある挨拶で始まった。押し寄せるAKI・CKD・ESRDの波と、後継者不足。いまだ少ない一般の認知不足、予防への理解不足、そして研究資金不足。しかしここはアメリカ、挨拶は再建の柱をいろいろと提案してポジティブに力強く終わった。
たとえば認知を広めるためにさまざまな取り組みがあって、New York TimesにもWall Street Journalにも記事が出た。米国腎臓財団(NKF)も積極的に活動しているし、クスリなどによる腎障害を予防するためのKHI(Kidney Health Initiative)も、FDAとASN、それに世界各国の腎臓内科コミュニティを巻き込んで活動しているようだ(パートナーの一覧に聖マリアンナ医科大学と東京大学を見つけた)。
スピーチのあとは腎臓内科界に貢献した医師や団体、会社らが表彰されたが、そのなかに一人の女性がいた。名前は覚えていないが、彼女は若くして腎臓病になり、透析後に移植を受け、何度かの移植での拒絶反応のあとcPRA 100%になっても「いつかテクノロジーが進歩して新しい治療があるはず」と諦めず、脱感作によりもう一度の移植に成功し、いまでも透析なしで暮らしている。
彼女はpatient advocateとして同じ病気に苦しむ患者達を支えたいとpatient support groupを作った。透析の患者さんに「諦めないで、いつか治療が進歩するから」と説いてまわっているという。並み居る参加者を前に「you guys are doing great、keep up good work」と言い、最後にこんな中国の諺を引用して締めくくった。
一時間幸せになりたければ、昼寝しなさい。
一日幸せになりたければ、魚釣りに行きなさい。
一ヶ月幸せになりたければ、結婚しなさい(聴衆失笑)。
一年幸せになりたければ、遺産を受け継ぎなさい。
一生幸せになりたければ、人を助けなさい。
聴衆はスタンディングオベーションで答えた。しかし私にはほろ苦い思いもあった。というのも正直、末期腎臓病治療は透析・移植が登場したきりで、少なくとも私が生まれてからの数十年はブレイクスルーがない。循環器領域で人々がLVAD、Impala®、TAHなどと精力的に新しい治療を希求しているのと対照的だ(もっともそれは、透析と腎移植が生命予後に関してはこれらの循環器デバイスよりずっと勝っているからなのだが)。
そんな複雑な思いと共に開会式は終わった。しかし、その次にstate-of-the-art talkで再生医療の話がはじまり「次の方向はこっちか?」というエキサイトメントを感じた。講演の先生も再生腎臓がまだ初歩なことは認めていたが、透析しないで済むレベルのGFRを生み出すことなら10-20年以内で可能になるかもしれない印象を受けた。また、このような新しいテクノロジーを笑うのではなくembraceする柔軟な自分でありたいと思った。
たとえば認知を広めるためにさまざまな取り組みがあって、New York TimesにもWall Street Journalにも記事が出た。米国腎臓財団(NKF)も積極的に活動しているし、クスリなどによる腎障害を予防するためのKHI(Kidney Health Initiative)も、FDAとASN、それに世界各国の腎臓内科コミュニティを巻き込んで活動しているようだ(パートナーの一覧に聖マリアンナ医科大学と東京大学を見つけた)。
スピーチのあとは腎臓内科界に貢献した医師や団体、会社らが表彰されたが、そのなかに一人の女性がいた。名前は覚えていないが、彼女は若くして腎臓病になり、透析後に移植を受け、何度かの移植での拒絶反応のあとcPRA 100%になっても「いつかテクノロジーが進歩して新しい治療があるはず」と諦めず、脱感作によりもう一度の移植に成功し、いまでも透析なしで暮らしている。
彼女はpatient advocateとして同じ病気に苦しむ患者達を支えたいとpatient support groupを作った。透析の患者さんに「諦めないで、いつか治療が進歩するから」と説いてまわっているという。並み居る参加者を前に「you guys are doing great、keep up good work」と言い、最後にこんな中国の諺を引用して締めくくった。
一時間幸せになりたければ、昼寝しなさい。
一日幸せになりたければ、魚釣りに行きなさい。
一ヶ月幸せになりたければ、結婚しなさい(聴衆失笑)。
一年幸せになりたければ、遺産を受け継ぎなさい。
一生幸せになりたければ、人を助けなさい。
聴衆はスタンディングオベーションで答えた。しかし私にはほろ苦い思いもあった。というのも正直、末期腎臓病治療は透析・移植が登場したきりで、少なくとも私が生まれてからの数十年はブレイクスルーがない。循環器領域で人々がLVAD、Impala®、TAHなどと精力的に新しい治療を希求しているのと対照的だ(もっともそれは、透析と腎移植が生命予後に関してはこれらの循環器デバイスよりずっと勝っているからなのだが)。
そんな複雑な思いと共に開会式は終わった。しかし、その次にstate-of-the-art talkで再生医療の話がはじまり「次の方向はこっちか?」というエキサイトメントを感じた。講演の先生も再生腎臓がまだ初歩なことは認めていたが、透析しないで済むレベルのGFRを生み出すことなら10-20年以内で可能になるかもしれない印象を受けた。また、このような新しいテクノロジーを笑うのではなくembraceする柔軟な自分でありたいと思った。
2013/11/10
Nephrology Quiz 1
米国腎臓内科学会の悩みの一つ、深刻な後継者不足を解決しようと、毎年学会にはたくさんの医学生やレジデントが(発表するしないに関わらず)travel grantで招待される。それでか、今年はセッションも「盛り上がっていこう」という気持ちの伝わるものが多かった。なかでも"Nephrology Quiz and Questionnaire"は秀逸だったし、会場も満員だった。
このセッションは、master clinicianと呼ばれる先生方が4人登場し、それぞれ2症例をクイズ形式で提示しその答えを説明することで思考過程とエビデンスを聴衆と共有する。腎炎を担当したMayoのFervenza先生は大御所中の大御所だが、とても気さくで、知的なユーモアで会場を和やかな笑いに包んだ。さて、全部は書かないが、私にとって勉強になったことを紹介する。
最初の先生は、昨年の講演『電解質診療のEBM』も分かりやすかった。1例目は、低K、尿AG陽性のAG+非AG代謝性アシドーシス(+呼吸性アシドーシス)で、トルエン中毒だった(レビューはJASN 1991 1 1019)。尿AG陽性は「尿NH4+減少」だけでなく「尿アニオン(この場合hippurate)増加」もあり、尿OG(osmolar gap)が有用かもしれないと学んだ。
2例目は褥創治療に砂糖を塗布されたあと低Na血症と腎障害を起こした例。Sucrose(ショ糖)は血中に直接はいるとすぐには分解されないので、尿細管細胞にたまって腎障害が起こる。ショ糖だけでなくマニトールなどその他の浸透圧物質でも起こり、osmotic nephrosisと総称される(レビューはAJKD 2008 51 491)。浸透圧ギャップにより診断を疑う。腎生検すると、特徴的な尿細管のvacuolizationがみられる。治療は浸透圧物質を止めること。
それにしても、傷口に砂糖を塗るなんて私は知らなかった。蜂蜜を塗る例は古代からあるというが、「高浸透圧にして殺菌+砂糖で治癒促進」ということらしい(J Wound Care 2011 20 206)。なんだかべとべとしそうだが、有効で腎機能が保たれアリが寄ってこなければ、いいか。つづく。
このセッションは、master clinicianと呼ばれる先生方が4人登場し、それぞれ2症例をクイズ形式で提示しその答えを説明することで思考過程とエビデンスを聴衆と共有する。腎炎を担当したMayoのFervenza先生は大御所中の大御所だが、とても気さくで、知的なユーモアで会場を和やかな笑いに包んだ。さて、全部は書かないが、私にとって勉強になったことを紹介する。
最初の先生は、昨年の講演『電解質診療のEBM』も分かりやすかった。1例目は、低K、尿AG陽性のAG+非AG代謝性アシドーシス(+呼吸性アシドーシス)で、トルエン中毒だった(レビューはJASN 1991 1 1019)。尿AG陽性は「尿NH4+減少」だけでなく「尿アニオン(この場合hippurate)増加」もあり、尿OG(osmolar gap)が有用かもしれないと学んだ。
2例目は褥創治療に砂糖を塗布されたあと低Na血症と腎障害を起こした例。Sucrose(ショ糖)は血中に直接はいるとすぐには分解されないので、尿細管細胞にたまって腎障害が起こる。ショ糖だけでなくマニトールなどその他の浸透圧物質でも起こり、osmotic nephrosisと総称される(レビューはAJKD 2008 51 491)。浸透圧ギャップにより診断を疑う。腎生検すると、特徴的な尿細管のvacuolizationがみられる。治療は浸透圧物質を止めること。
それにしても、傷口に砂糖を塗るなんて私は知らなかった。蜂蜜を塗る例は古代からあるというが、「高浸透圧にして殺菌+砂糖で治癒促進」ということらしい(J Wound Care 2011 20 206)。なんだかべとべとしそうだが、有効で腎機能が保たれアリが寄ってこなければ、いいか。つづく。
Nephrology Quiz 2
二人目がFervenza先生で、その1例目はステロイド依存で多薬にも依存になってしまった難治性の微小変化群をどうするかだった。エビデンスと経験をもとにCyclophosphamideは12週の経口でないと再発しやすい、CNIは一日一回でも腎障害は来る、MMFはステロイドを切るまでは至らないデータが多い、Rituximabは今のところ良さそうだが使い方は未確定(レビューはdoi: 10.1093/ndt/gft366)、など論文をたくさん引いてお話された。
2例目はFSGSについてだったが、彼の「nephrotic-range proteinuriaとnephrotic syndromeは違う病態」という意見が目を引いた。これを言う人には以前にも会ったことがあるが、そういうものなのかもしれない。彼によれば、FSGSについて前者は二次性、後者は原発性(いわゆるpodocytopathy)を示唆するという。ついでに、3.5g/dで線引きをした(4g/dでもいいけど)経緯に関連した論文も紹介され(Am J Med 1958 24 249)、読もうと思った。
三人目の先生は透析についてお話した。その1例目は腹膜透析で二週間前に腹膜炎をおこし、今度は別の(やはり皮膚の常在菌による)腹膜炎を起こしたケース。別の菌だから、recurrentだ(同じ菌で4週間以内ならrelapse、4週間以上ならrepeat、AJKD 2011 58 429)。Touch contaminationが疑われるが、治療は?
実はこの方(実はと言うか、最初から提示されていたが)最近いろいろあって情緒不安定で、抑うつだった。だから正解はsertralineの内服。ESRD患者さんの1/4は抑うつというデータもある(KI 2013 84 179 )し、治療したらアドヒアランスが向上したというデータも出始めた(doi: 10.1681/ASN.2012111134)。つづく。
2例目はFSGSについてだったが、彼の「nephrotic-range proteinuriaとnephrotic syndromeは違う病態」という意見が目を引いた。これを言う人には以前にも会ったことがあるが、そういうものなのかもしれない。彼によれば、FSGSについて前者は二次性、後者は原発性(いわゆるpodocytopathy)を示唆するという。ついでに、3.5g/dで線引きをした(4g/dでもいいけど)経緯に関連した論文も紹介され(Am J Med 1958 24 249)、読もうと思った。
三人目の先生は透析についてお話した。その1例目は腹膜透析で二週間前に腹膜炎をおこし、今度は別の(やはり皮膚の常在菌による)腹膜炎を起こしたケース。別の菌だから、recurrentだ(同じ菌で4週間以内ならrelapse、4週間以上ならrepeat、AJKD 2011 58 429)。Touch contaminationが疑われるが、治療は?
実はこの方(実はと言うか、最初から提示されていたが)最近いろいろあって情緒不安定で、抑うつだった。だから正解はsertralineの内服。ESRD患者さんの1/4は抑うつというデータもある(KI 2013 84 179 )し、治療したらアドヒアランスが向上したというデータも出始めた(doi: 10.1681/ASN.2012111134)。つづく。
Nephrology Quiz 3
2例目はナーシングホームに暮らす虚弱で既往の多い高齢ESRD患者のケースで、AVF(内シャント)が閉塞したあと右内頚静脈に長期留置カテーテルをいれたあとで右上肢が腫脹し、超音波でカテ周囲の血栓がみられた。どうする?正解は、透析をカテーテルで続け、抗凝固を始める。
左に入れても右カテーテル周囲に血栓があり閉塞しているので有効な透析がおそらくできない。いきなり右カテーテルを抜くと、血栓が肺に飛ぶかもしれない。カテーテルに血栓ができる仕組みは、この論文(Lancet 2009 374 159)に美しい図があることを知った。カテーテル関連の血栓についての治療ガイドライン(Chest 2008 133 6 Suppl 454S)も知った。
4人目の先生は、移植について。その1例目は、東南アジアからの移民高齢者で、原因不明のESRDに対してDDKT(deceased donor kidney transplant、献腎移植)3ヶ月後にグラフト周囲の痛みを訴えたが、精査すると肋骨周囲の腫瘍と胸腔内リンパ節がみつかったケース。BK DNA 17000 copies/ml。免疫抑制が効きすぎた、肺外結核。ESRDにおける結核をレビューした文献(AJKD 2013 61 33)が紹介された。そして、もちろんRFPとCNIの相互作用も。
その2例目は、若いAB型のレシピエントがDDKT→DGF(移植後しばらく尿が出ない)後のacute rejection 2Aに対してステロイドとIVIGを受けたら、溶血性貧血になった。正解は、IVIGに含まれる抗A、抗B抗体による溶血。知らなかったが、IVIGは約1000人のドナーからの血清を集めてつくられ、会社にもよるが抗A、抗B抗体は多い(CJASN 2009 4 1993)。
なおこの方は若いからCNI-sparingレジメンでsirolimusを内服していたが、CNIもsirolimusもTMA的な溶血は起こす(が本例はタイミングが合わない)。やっぱりCNIをキープしておいたほうが良かったのか?そもそもアドヒアランスが悪かったかもしれない。IVIGよりATG(抗胸腺グロブリン)?施設によって治療が違うのが、移植業界。つづく。
左に入れても右カテーテル周囲に血栓があり閉塞しているので有効な透析がおそらくできない。いきなり右カテーテルを抜くと、血栓が肺に飛ぶかもしれない。カテーテルに血栓ができる仕組みは、この論文(Lancet 2009 374 159)に美しい図があることを知った。カテーテル関連の血栓についての治療ガイドライン(Chest 2008 133 6 Suppl 454S)も知った。
4人目の先生は、移植について。その1例目は、東南アジアからの移民高齢者で、原因不明のESRDに対してDDKT(deceased donor kidney transplant、献腎移植)3ヶ月後にグラフト周囲の痛みを訴えたが、精査すると肋骨周囲の腫瘍と胸腔内リンパ節がみつかったケース。BK DNA 17000 copies/ml。免疫抑制が効きすぎた、肺外結核。ESRDにおける結核をレビューした文献(AJKD 2013 61 33)が紹介された。そして、もちろんRFPとCNIの相互作用も。
その2例目は、若いAB型のレシピエントがDDKT→DGF(移植後しばらく尿が出ない)後のacute rejection 2Aに対してステロイドとIVIGを受けたら、溶血性貧血になった。正解は、IVIGに含まれる抗A、抗B抗体による溶血。知らなかったが、IVIGは約1000人のドナーからの血清を集めてつくられ、会社にもよるが抗A、抗B抗体は多い(CJASN 2009 4 1993)。
なおこの方は若いからCNI-sparingレジメンでsirolimusを内服していたが、CNIもsirolimusもTMA的な溶血は起こす(が本例はタイミングが合わない)。やっぱりCNIをキープしておいたほうが良かったのか?そもそもアドヒアランスが悪かったかもしれない。IVIGよりATG(抗胸腺グロブリン)?施設によって治療が違うのが、移植業界。つづく。
Nephrology Quiz 4(aka ARS)
とまあ、Nephrology Quizは明日から役立つことが勉強になった。もう一つ、効果的なやり方と思ったのは、ARS(audience response system)だ。日本でも使われ始めているが、今回は聴衆全体、TPD(training program director)、フェローの三群に分けて、それぞれのレスポンスを見ていた。だから、たとえばTPDはほとんど正解でもフェローは答えが完全に分かれたりして、そういうフェローの苦手分野はもっと教えようとか活かせそうだった。
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