2018年5月23日水曜日

医療にとって大切になる PRO(Patient-Reported Outcome)、PRE(patient-reported experience)

今回の話題はPRO(Patient-Reported Outcome)やPRE(patient-reported experience)について話そうと思う。

あまり正直聞きなれないかもしれないし、何故腎臓内科のブログで?と思われるかもしれない。ご存知のように2018年のNephMadnessの優勝はこのPROに関してであった。

■まず、PROに関してだが、日本語では「患者報告アウトカム」とされ、「患者による症状・医療行為の主観的な評価」のことである。

例として
82歳の慢性疾患を持っている女性がいるとする。
彼女は色々な症状があり、また協力性も低くコミュニケーションも上手に取れず、医療者によっても症状の評価が様々であった。

こういう例に対してPROM(Patient-Reported Outcome Measures)を用いる。
PROMは症状や不安やQOLなどを数値化する。
・例えば
QOLであればEQ-5DAQoL
症状であれば、疼痛ならNPRS、疲労感ならFSS
うつ症状ならK10PHQ2、不安ならGAD7
機能の評価ならWHODAS2.0ODI
健康関連QOL評価ならSF36
などで数値化をする。

ちなみに何故これをするといいかというと①患者、②医療者、③保険などの支払い側にとってメリットがあると言われている。

①患者にとっては、先の症例のようなコミュニケーションが困難な人でも訴えの点数化によって患者ニーズの把握に繋がり、また患者の症状をメインとした患者中心の医療を行うことができる。

②医療者にとっては患者に出した薬の効果を数値化されることによって評価することができる。それによって不必要な治療を減らして、コストを抑えることができる可能性がある。

③支払い側にとっては、この治療行為がしっかりと行えているかの判断に繋がりお金を支払う判断材料になる。

では、腎臓領域に関してはどうであろう。
Kidney disease Quality of life Short form(KDQOL-36)(36個も質問はあってかなり骨は折れそうである。)

Dialysis Symptom Index(30個で非常に簡潔)

最近のsystematic reviewでも、KDQOL-36を透析導入前や透析中の患者に使用した方がよく、またESRD-SCLTM(End stage renal disease symptom check list transplantation module)を移植の人に使ったほうがいいとされている。


■では、PREMは何かというと「患者に経験したことを報告してもらうこと」である。
例えば、待合での待ち時間は長かったですか?や医師が言ったことをどれくらい理解できましたか?などである。

このメリットは言うまでもなく、生のfeedbackがもらえるため患者のQOL向上に対してどのように変化をすればいいかを理解できる。

このPREMの改善→PROMの改善に繋がることも非常に多い。
腎疾患に関して、これについて述べた論文がある(Nephrology and hypertension)

PROMやPREMはまだまだ使用できる場面としては限られてはいるが、今後色々と中心になってくる話題に感じた。