2018/05/02

腹膜透析(PD)における悩ましい点③

今回は腹膜透析で常に難しいなと感じる出口部感染と腹膜炎の話題に触れようと思う。今回の投稿では出口部感染とトンネル感染。

まず、世界的にはISPDのガイドラインは2016年のものが出ている。
日本語版も出ている。

この世界的なガイドラインは1983年に出され、その後1989年、1993年、1996年、2000年、2005年、2010年と改定されている。

出口部感染に関しては、日常の腹膜透析の外来を行っていると遭遇する場面は非常に多い。
出口部感染で重要なことは
1:予防(消毒など)
2:評価
3:治療
である。

・予防の点では、一番大切なのはPD管理の教育である。PD導入時の教育と教育が不十分な場合には再教育を行う必要性がある。特に手指消毒は非常に重要である(RCTでの証明はない)。
出口部のケアに関しては、現時点では優れた洗浄剤の指摘はないが、ポピドンヨード群で出口部感染が減少したという報告もあるが、強く支持できるだけのエビデンスに至っていない。
S. aureus(黄色ブドウ球菌)による出口部感染は頻度が多く、腹膜炎や腹膜透析の中断に繋がる。ムピロシン軟膏の塗布は多くの報告で有用性が示されている。

・評価の点では
出口部感染はカテーテル出口部や周囲の皮膚発赤の有無にかかわらず膿性の滲出物があることで診断される。
近森病院写真より引用(http://www.chikamori.com/page1011.html)

トンネル感染は皮下トンネル部に発赤・腫脹・圧痛・硬結が認められる場合に診断される。通常は出口部感染を伴っている場合が多い。
出口部感染は、そのため膿性滲出物の所見が重要になる。これがなくて培養だけ取ってみたら陽性だった場合は、おそらくは出口部の所にコロニー形成しており、感染とは評価し難い。
また、出口部感染のアルゴリズムを書きに示す。

ここで、一つ悩ましいのはカテーテル感染を疑って超音波検査を行うかであるが、超音波検査の適応としては
・トンネル感染が疑われる場合の初期評価
・トンネル感染の臨床所見が認められない出口部感染の初期評価(特に黄色ブドウ球菌)
・抗菌薬投与後の出口部感染およびトンネル感染の経過フォロー目的
・再燃性の腹膜炎のエピソードがある場合
などが挙げられる。

超音波が容易に利用できる場合には、一度トンネル感染の有無は見ておくのがいいと考える。

・治療の点に関して
治療に関しては経口抗菌薬が基本となり、期間は緑膿菌によるものを除き、最低2週間の治療期間が必要である。緑膿菌に関しては最低3週間の治療期間が必要である。

今回詳細な抗菌薬などや菌については触れないが、グラム染色を行い起因菌がグラム陽性菌か陰性菌かを確認することは、治療薬の選択で非常に重要である。
http://www.rouringi.jpn.org/gakujutu/biseibutsu03.html より引用
また、難治性(3週間の抗生剤投与でも治療が無効)の出口部感染やトンネル感染の場合には、カテーテル抜去・異なる出口部での再挿入が推奨されていることには留意する必要がある。

次回は、腹膜炎の話を少し触れたい。その中でも培養陰性の腹膜炎について触れようと思う。