歴史と聞くとワクワクする。
人が生まれてから死ぬまで、それぞれの臓器は働く。もちろん臓器の一つである腎臓だって同じだ。ただ時期、状況により腎障害を受けたり、透析になったり、、、。腎臓も色々なことを経験する。・・・大変だ。
そう考えると、同じ電解質異常を見ていても、腎臓の背景が何があるかで機序が変わってくることもある。高K血症の診断、治療なんてたくさんのレビューがいたるところにある。しかし、この記事はキラリと光る、面白い切り口で書いてある。(Clin J Am Soc Nephrol 13: 155–157, 2018. )
この記事は下記の症例提示から始まる。
2型DMと高血圧が認められ、1ヶ月前に献腎移植を行われたESRDの55歳男性がK5.5mEq/Lで来院した。10年前に緊急透析を要する重症高K血症を伴う敗血症関連のAKIを発症した。そこから数年間は高K血症によりRASS阻害薬を使用できなくなるほどのCKDヘと増悪した。腹膜透析を行なっている間は、Kは3.6mEq/Lから4.2mEq/Lで推移した。その後患者は血液透析が開始され、透析前のK濃度は5.5mEq/Lから5.8mEq/Lであった。
同じK5.0mEq/Lだったとしても、それぞれの時期での高K血症は起きる機序が異なるというのである。
腎臓の歴史の区切り方として腎機能を挙げている。
1 正常
2 AKI
3 CKD GFR>15ml/min
4 CKD GFR<15ml/min
5 血液透析
6 腹膜透析
7 移植
同じ高K血症でもこの7つのパターン、みなさまはどの程度違いが分かるだろうか。
私はよく知らない。だから勉強しなければと思う。
常日頃感じるが、臨床医の醍醐味って、点だけではなく、点と点を結んだ線それはすなわち、因果関係や歴史を知り理解することだと思う。
高K血症の患者さんが来院してきたら、背景は一体どんな人だろうと常に思いを巡らせたい。
患者さんの歴史により興味を持つきっかけになる切り口と思った。