M医師「今、外来で診ているSLEの患者さんが薬物治療もしっかりと行なっているんだけど活動性が改善しなくて。透析治療で原因物質の除去ってできない?」
T医師「??(どうなんだろ・・、SLEに透析治療、考えたことないな。。)」
M医師「なんか、前に血漿吸着療法がいいみたいな話をきいたけど?」
調べてみよう。
前回話したように、SLEの症例にPAを行う場合にはPlasma absorberの選択が非常に重要である。
SLEでは
・イムソーバ
・セレソーブ
が選択肢になる。
簡単に原理をおさらいする。
イムソーバはPHとTRにわかれる。この違いは吸着原理の違いによるものである。
吸着リガンドは、下記のものになる。
PH:フェニルアラニン
TR:トリプトファン
吸着リガンドは何かというとイムソーバはポリビニルアルコールゲルからなる多孔質ビーズの単体に下図のように青い吸着リガンドがくっついているものである。
ASAHI KASEI homepageより |
PHは免疫複合体、リウマチ因子、抗DNA抗体(図1)
TRは抗アセチルコリンレセプター抗体(図2)
を選択的に吸着すると言われている。
図1:PHによる吸着性能
ASAHI KASEI homepageより |
図2:TRによる吸着性能
ASAHI KASEI homepageより |
SLEに対してのPH膜は下図のように報告によっては、抗体除去率や症状改善に有用とする報告も多い。
ASAHI KASEI homepageより |
なので、まずイムソーバをSLEに使用する際にはイムソーバTRを用いる際にはACE阻害薬に関しては、ブラジキニンの蓄積が生じてショックを生じる可能性があり禁忌となっているので注意する必要がある。
もう一つはセレソーブである。
セレソーブに関しては陰性荷電したデキストラン硫酸が陽性荷電の抗体とくっつき除去するものである。
SLEに関しての保険に関しては下記のものに該当する限り月4回算定できるとしている。
1:特定疾患医療受給者と認められたもの
2:血清補体価(CH50)の値が20単位以下、補体蛋白(C3)の値が40以下および抗DNA抗体の値が著しく高くステロイド療法が無効、または臨床的に不適当
3:RPGNまたはCNAループスと診断されたもの
M医師への答えはわかっただろうか?
SLEにおいて免疫抑制剤も発展しており、PAを行う機会はめっきりと減っているかもしれない。
ただ、腎臓内科医はしっかりとこのような選択肢ももつべきである。