2017/11/18

少しアフェレシスと透析について PAについて③

今回が一応アフェレシス祭り(こう呼ばれたので)の最後になる。


今回の話題はLDL吸着療法である。

まず、LDL吸着療法はPlasma adsorberがリポソーバー(LA-15、40)の血漿吸着療法である。
吸着の対象となるのはLDLコレステロールである。


保険適応の疾患に関しては以下の3つである。
①家族性高コレステロール血症
②閉塞性動脈硬化症
③巣状糸球体硬化症

である。

①は想像がしやすいと思うが、スタチンなどの薬剤投与によっても高脂血症(血清総コレステロール250mg/dl以下にならない)が持続する場合は適応になる。
これは週1回までの適応になる。

疾患について簡単に概説をする。
家族性高コレステロール血症:
LDL受容体異常による高コレステロール血症をきたす常染色体優性遺伝の疾患である。
遺伝型はホモ型とヘテロ型がある。
 -ホモ型は新生児から著明な高コレステロール血症をきたし全身の動脈硬化をきたす。
 -ヘテロ型はホモ型より予後良好だが、70%が65歳までに死亡する。


治療に関してはホモ型とヘテロ型で異なる。2017年に動脈硬化ガイドラインがでているので、参考にして頂きたい。
・ホモ型であればスタチンを投与し治療目標に到達しない場合には定期的にLDLアフェレーシスなどを行う。(下図)




・ヘテロ型であれば、スタチン投与を行いPCSK9投与などを行い効果不十分であればLDLアフェレーシスの適応となる。(下図)



②閉塞性動脈硬化症
これに関しては、PADに関してまとめた以前の記事があるので参考にしていただきたい。
保険請求できる回数は一連につき3ヶ月で10回までとなる。

適応としては下記を全て満たすものである。
・Fontaine分類Ⅱ度以上の症状を呈するもの
・薬剤療法により、血中総コレステロール220㎎/dl,あるいはLDL-C値140mg/dl以下まで低下しない高コレステロール血症
・膝窩動脈以下の閉塞、または広範な閉塞部位を有するなど外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない場合。

LDL-Cを低下させることが一つのメカニズムであるが、そのほかにも酸化LDLの低下作用と血管内皮細胞改善に優れていたとの報告もある。
過去にはスタチン+LDLアフェレーシスとスタチンのみを比較したもので、併用した場合のが良かったという報告も出ている(Ann Intern Med 1996)。


③巣状糸球体硬化症
日本からの報告が多い。
機序に関しては明確にはわかっていないが、酸化LDLの低下や関連する炎症性サイトカインの除去を行うことができ、ネフローゼに伴う過凝固の状態の改善に寄与するのではないかと言われている。

条件としては
ステロイド抵抗性を示すネフローゼ症候群で、総コレステロールが250㎎/dl以下に低下しない場合が挙げられる。
保険請求できる回数は一連につき3ヶ月で12回までとなる。


LDLアフェレーシスの使用方法を示す。


何故、カラムが二つあるかに関しては、一つのカラムで吸着を行なっている際にもう一方のカラムは洗浄・賦活化を行なっているためである。

ちなみに用いるカラムのリポソーバーLAの
リポソーバー40:400mL容量カラム
リポソーバー15:150mL容量カラム
である。

LDL吸着療法の治療時間としては、
治療時間1.5~2.5時間
血液流量100~150ml/min
血漿流量30~45ml/min
目標血漿処理量3000~5000ml
である。

最後は簡単にであるが、LDLアフェレーシスについてまとめた。
アフェレーシスは奥が深いし、正直使いこなせていない。。ここを見て少しでもアフェレーシスの面白さ・奥深さがわかっていただければ嬉しい。