2013/08/19

Live kidney donorと血圧

 生体腎移植ドナーが、腎臓が一個になって心配されるのが高血圧と腎機能低下だ。これを調べるのにいくつものobservational studiesが組まれたが、問題は誰と比べるかだ。というのもドナーはextensive screening testsをパスした、コミュニティで最も健康な人達だから、general populationと比較するとドナーのほうがアウトカムが良いということはよくある。だからといって、腎臓は一個のほうがよいということには勿論ならない。
 最近、この問題を解決しようとした論文(doi: 10.1053/j.ajkd.2013.01.027)がでた。コントロール群は、参加移植施設で簡単な検査(問診、バイタルサイン、血液検査)の結果ドナーになりうると判断された人達だ。最初はドナーの兄弟を対象にしていたが、数が集まらないのでその施設が見つけてきた人達なら誰でもよいことになった。
 とこう書いただけでも、ドナーとマッチしたコントロール群を納得いくように設定することがいかに難しいかが分かる。6ヶ月の観察で、ドナー群はコントロール群に比べて血圧に有意差がなく、様々な方法で計算または測定したGFRは20%程度低かった。長期データも継続して調べる予定らしい。
 このスタディは、米国の生体腎移植が減少に転じた文脈で、ドナーの健康上の懸念に対する安心材料として解釈されるのだろう。Organ Procurement and Transplantation Network(UNOSデータベース)によれば、米国の生体腎移植は2004年の6647件から2012年の5618件まで低下した。ただしこのスタディは被験者の約95%が白人だったので、他人種・ethnicityへのgeneralizabilityは低い。