古くは1980年代にも報告があるし(Br J Pharmac 1983 79 891)、最近ではGitelman症候群患者30人を対象にインドメサシン、エプレレノン、アミロライドのK保持性を比較したRCT(JASN 2015 26 468、クロスオーバーも)で、図らずもそれが示された。
スタディで、アミロライドは尿中Mg排泄がコントロール群に対して有意に低かった(2.1mmol/24h v. 1.7mmol/24h、p<0.05)のに対し、インドメサシン・エプレレノンでは高かったのである(それぞれ3.1と3.0mmol/24h、ANOVA検定でp=0.02)。
同様の結果は、健常者を対象にスピロノラクトンとアミロライドを比較したスタディ(Br J Clin Pharmacol 1993 35 373)でもみられている。ENaC阻害薬といえば、低ナトリウム血症を起こしやすいことは以前も紹介したが、マグネシウムについてもこうした違いがあるようだ。
どうして、同じRAA系を阻害するミネラルコルチコイド受容体阻害薬(MRA)では起きないのか?ENaC阻害薬では阻害されない(が、MRAでは阻害される)アルドステロンの作用などが推察されるが、詳細は不明であり、解明が期待される。
日本ではあまり使われない薬だが、じつはトリアムテレンが認可されている。また、利尿薬でもある?SGLT2阻害薬も、Mgの尿中排泄を低下させることが知られている(日本からの報告は糖尿病 2017 60 700など)。
だから、マグネシウムの保持がいろいろと身体によいなら、それをきっかけにENaC阻害薬も脚光を浴びる・・なんて日が、来るかもしれない。
(enactは「採択する」を意味する英語) |