2017年9月9日土曜日

少しアフェレシスと透析について HA の続き

前回から投稿の期間が空いてしまった。

今回は、前回の続きでHA(血液吸着療法)についての話を進めていきたい。
前回、下記の①について話を進めさせていただいた。
①活性炭(DHP-1、ヘモソーバ、ヘモカラム)
②ポリミキシンB固定化吸着剤(トレミキシン)
③ヘキサデシル基固定化セルロースビーズ(リクセル)


今回は、②、③について触れたいと思う。

まず、ポリミキシンB固定化吸着剤についてであるが、イメージしやすいのはPMXという言葉であると思う。
PMXに関しては、まずは一番論議されるのは有用性である。
ここで知っておくべきtrialは4つある。
1)  EUPHAS trial(JAMA 2009):イタリア
2) ABDO-MIX trial(Intensive care medicine 2015):フランス
3) EUPHAS2 trial(Annals of intensive care 2016):イタリア
4) EUPHRATES trial(Enrollmentは終了:現段階で論文化未):アメリカ・カナダ
である。

現在の流れとしては、EUPHASやEUPHAS2はpositiveな結果は出たが、ABDOMIXによって死亡率悪化傾向が見られ、EUPHRATESは論文化はまだであるが、2016年のESICMで死亡率なども有意差がないことが示されている。
なので、現時点では推奨度は高くない。

日本からの最近の観察研究(Crit care 2017)で敗血症性ショックにPMXがいいという論文が出ている。ABDO-MIXやEUPHRATESがRCTであり観察研究にどれだけ打ち勝てるかは厳しいところではあるので、PMXは推奨度は低いというのは変わらないであろう。

では、PMXについての構造などを見ていきたいと思う。

PMXはカラムに抗菌物質「ポリミキシンB」がポリスチレン誘導体繊維に共有結合によって固定されているものである。ポリミキシンBにエンドキシンのリピドAがくっつきエンドトキシンを中和するのが原理である(下図)。
東レメディカル トレミキシンカタログより
・保険の算定は報酬点数より引用すると、下記のようになる。
エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法は、次のアからウのいずれにも該当する患者に対して行った場合に算定する。
ア)エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われるもの
イ)次の(イ)~(ニ)のうち2項目以上を同時に満たすもの
(イ)体温が38度以上又は36度未満
(ロ)心拍数が90回/分以上
(ハ)呼吸数が20回/分以上又はPaCO2が32㎜Hg未満
(ニ)白血球数が12,000/㎜3以上若しくは4,000/㎜3未満又は桿状核好中球が10%以上
ウ)昇圧剤を必要とする敗血症性ショックであるもの(肝障害が重症化したもの(総ビリルビン10㎎/dL以上かつヘパプラスチンテスト40%以下であるもの)を除く。)


・トレミキシンの種類:下記の3つに分かれる(図参照)。
共通としては、治療時間は2時間。
-PMX-01R  血流:8-12ml/min
-PMX-05R  血流:20-40ml/min
-PMX-20R    血流:80-120ml/min
となる。
東レメディカルより引用
プライミング:これが多少めんどくさい。理由としては、充填されれている液が、pH2の強酸であり、生食をたくさん流して洗浄する必要がある。上図の膜サイズにより、洗浄に使う生理食塩水の量は異なり、PMX-20Rでは4L、PMX-05Rでは、2L、PMX-01Rでは、500ml生食で洗浄。その後、抗凝固剤を添加した、生食で洗浄する。

相互作用:麻酔剤、筋弛緩薬、アミノグリコシド系抗生剤との併用で神経筋遮断作用による呼吸抑制が出ることがあるので併用薬については注意する必要がある。

カラムは垂直にすることが構造上必要である。
最後に回路を示す。
東レメディカルより引用

今回もPMXで終わってしまった。
PMXに関しては、今後どうなるのかはわからない。おそらく正式にEUPHRATES trialの論文が出てnegativeが有用性がないというものであれば、治療の正当化がいままで以上に難しくなるかもしれない。