2012/09/07

MMF in ANCA-associated vasculitis

 ANCA-associated vasculitisの治療は、cyclophosphamideが主要な治療だが、毒性がつよいため他の薬はないか?ということでrituximabが試されたことは知っている。しかし、これは腎臓内科ではあまり使われてこなかった薬で、高価だし、注射後にサイトカインショックみたいな副作用が起こることもあるので、尻込みする腎臓内科医は多い。

 第三の選択肢はないかと探したら、MMFが試されていたことが分かった。欧州のスタディ(Ann Rheum Dis 2007 66 798)では、cyclophosphamideを最大量用いたが再発した、出血性膀胱炎や骨髄抑制など副作用がひどい、などの32例を対象にステロイドと共に1g 2x/日のMMFを投与した。

 結果は、完全寛解率78%であった。ただし、ほとんどの症例がPR3-ANCA陽性例で、腎病変が約半数にみられたもののmedian creatinineは1.1mg/dlであったこと、そしてMMF投与後に半数で感染の合併症がみられた(一人がaspergillosisで死亡した)ことに留意する必要があるだろう。

 もう一つのスタディはMayo Clinicが行ったもので(CJASN 2010 5 445)、MPO-ANCA陽性のmicroscopic polyangiitisで、腎病変(ただしCrが3mg/dl以下)が尿沈渣または腎生検でみられた17例に対してステロイドと共にMMFを投与した。用量は750mg 2x/日で始め、一週間後に1000mg、副作用がなければ1500mgに漸次増量した(さらに薬または代謝物の血中濃度を測っている)。

 結果は、投与後6か月で76%がprimary outcome(BVASスコアがゼロでcreatinineが同程度か減少)した。GFRは最初の6か月で変わらず、その後少し上昇した。蛋白尿は漸減した。58%が副作用を経験したが、上気道炎、消化器症状、白血球減少などいずれも軽度で用量を減らすことでだいたい改善した。

 比較試験ではないし、single centerなスタディだが、internal validationは高い。似たようなピンポイントな症例があってcyclophosphamideは使いたくない、という時にはエビデンスとして応用できそうだ。Patient characteristicの表がないが、median ageは64歳、10/17人は男性、全員がCaucasian、10/17人が初発だった。