2012/09/20

Making a difference

 フェローも二年目、レジデントや医学生と一緒に働くコンサルトで何か教育的な新しいことがしたい。そう思って始めた一つが毎日学習の振り返りをメールで送ることだ。興味深い尿沈渣所見があれば病理検査室でカメラ付き顕微鏡を借りてデジタル画像にして送る。いままでdysmorphic RBC(日本語で「破砕赤血球」ということもあるが、実際はミッキーマウスのような形をしているものが多い)、赤血球円柱、尿酸結晶、ロイシン結晶(メープルシロップ尿症、肝不全などで見られる)などを撮った。Aciclovirの結晶は、写真のアイデアを思いつく前に見つけたので雑誌記事の写真を送った(NEJM 2008 358 e14)。

 回診で議論されたトピックとそれについての論文(主にレビュー)のリンクを張り、それだけでは誰も読まないだろうから数行の解説を付けて送る。いままでhyperkalemia 、normotensive ARF、SIADH、vaptans  in cirrhotics、hepatorenal syndrome、CRRT、hypernatremiaなどについて短く解説した。さらに、亀の冬眠を可能にする酸塩基平衡のヒミツ(以前ここに書いたやつ)、野生動物たちがビタミンD欠乏にならない訳(皮脂が毛に沁み込み、それが日光を浴びてビタミンDになり、それをペロペロなめて摂取しているのだ!)など面白いトピックも送っている。

 ただでさえ忙しいのに、これで帰宅が一時間遅くなる。でも楽しいので、80-hour ruleに違反しない限り今月いっぱいは続けるつもりだ。メールの返事が来たことはまだないが、こちらとしても褒めてもらうためにしている訳でなし、彼らの頭に「ああそんなことフェローが言ってたな」くらいに残ればいいと思っている。今のところ、レジデントも医学生も(遅くまで忙しくて大変なのに)このローテーションを楽しんでくれているみたいで何よりだ。