2012/01/12

NxStage

Home dialysisの患者さんを診ることがある。うちの病院はNxStageという機種を使っており、こないだhome dialysis nurseに色々教わった。考えてみれば在宅血液透析は日本にほとんどないだろうから少し書いてみる。NxStageは透析膜やチュービングがカートリッジになっており、機械にそれを嵌め込むだけなので簡単だ。それに透析液をセットし、患者さんのアクセス(fistulaあるいはcatheter)にhook upすれば準備完了だ。
 透析液は5Lバッグに入っているのを吊り下げればよい。またSAKと呼ばれる滅菌された濃縮液(72時間もつ)もある。これは、水道水をドボドボ40L-60L注ぐと少しずつ機械が滅菌して濃縮液と混ぜて透析液を作ってくれる仕組みだ。バッグを毎日吊るさなくても済むので楽チンだ。
 NxStageは、透析液の流量を極めてゆっくりにして、少量の透析液で透析するのが特徴だ。どれくらいゆっくりかと言うと、ダイアライザに透析液が入る一端から、透析液中の尿素濃度がどんどんあがって、透析液が出てくるもう一端では血液と透析液の尿素濃度がほとんど同じなほどだ。少ない透析液で最大限の透析効率をあげるため、カリウム濃度は1mEq/lと低く、バッファは40-45mEq/lと高い(bicarbonateの代わりにlactateを使っている)。
 NxStageでは透析の量は透析液の量で決まり、その量はたいてい20-25Lだ(45-50% of estimated body water)。In-center HDで600ml/minを4時間やれば144Lの透析液を使うことになるから、水の節約になる。透析液を全部使いきれば終わりで、透析流量はFF(filtration fraction、たいてい25-35%)に基づく。FF = (dialysate flow + net UF)/blood flowだから、血液流量を増やせば透析流量も増え透析がはやく完了する。たとえば透析流量が150ml/minで25L透析液を使うなら、2時間46分で終わりだ。これを週6回やる。
 週6回これをやるのと、週3回in-center HDをするのと、はたまた毎日PDするのと、透析の効率をどう比べよう。詳しい計算式はさておき、一週間あたりのKt/Vに相当するstdKt/V(スタンダードKt/V)という概念があって、NxStageではこれを2以上に保つことになっている。
 NxStageだと旅行に行けたり家にいられたり、患者さんのquality of lifeは格段に高い。ではmortalityはどうか?NxStageそのものを他のモダリティと比較したスタディは私の知る限りないので、frequent in-center HDのデータ(NEJM 2010 363 2287)やnocturnal HDのデータ(NDT 2009 24 2915)からextrapolateするしかない。これは独立した大きなテーマなので、別に書く。