2007/11/27

暴れ者

 ときには暴れ者が入院することがある。指示に従わない、そして自分なりの理屈をもってそれを怒りながら主張する。議論をしても非を認めないし、「こうしないと危険があるということはお分かりですね、伝えましたからね」と免責して相手の好きにさせがちだ。しかし、逆にいえば非を受け入れられないからこそ自分の正しさを強弁するしかないのだ。
 そういう人は、怒っているけどほんとうは助けてほしいのである。それが人間である。その(場合によっては意識下の)メッセージを受け止めて接しなければならない。しかし怒りをもって接されると、こちらも心の平静がおびやかされ穏やかでない。ある程度距離をとりつつ、言いなりと撥ね付けの間を行ったり来たりしながら対応するしかない。
 透析患者の人たちは、いままでの生活、仕事、自尊心など非常に多くのものを失う。受け入れられないのが却って普通なのである。受け入れるには、基本的には時間と馴れしかない。これらの問題について扱うpsychonephrology(精神科+腎臓内科)という領域が重要視されている。