2011/02/08

2nd case of milk alkali

 ミルクアルカリ症候群とおぼしき症例をまた診た。脳性麻痺の患者さんが数日続く嘔吐ののち誤嚥して運ばれ、血液検査でナトリウムが162mEq/l、カルシウムが11.7mg/dl(補正後)だった。カルシウムは嘔吐の前から高値で内分泌科医を紹介受診する矢先だったらしい。この程度のカルシウム値でそこまで症状がでるとも思われないので、嘔吐とカルシウムはべつの話だろう。
 ともかく血液検査ではHCO3が上昇しており、まさかまたミルクアルカリかと思って薬剤リストを見ると、果たしてbaking soda(重曹)とある。さらに骨粗鬆症予防にカルシウムとビタミンDも内服していた。家族に聞くと、重曹は胃が痛がるので慢性的に飲ませていたという。ともかく治療は補液で、最初の24時間はこまめに血液検査をして値が徐々に正常化するのを確かめることにした。

2010/10/03

pulsating

 中心静脈ラインを挿入するとき、静脈と確信して血管に針を入れた(超音波ガイド下)のにそこから流れてくる血液が拍動しているという事態が二回もあった。動脈を穿刺したのかと困惑した。並走する動脈の拍動が静脈に伝わることはあるが、そのレベル以上に拍動している。だが見た目はあきらかに静脈血で、血液ガス分析でも静脈血だった。一人目の患者さんは重度肝不全、二人目の患者さんは重度心不全があった。静脈圧が普通の人より大分高いので拍動していたのだろうと結論した。

2010/10/02

unravel

 手技中にunravelという単語を聞いた。ほどく(disentangle)が原義、転じて解明する(resolve)という意味もある。また動脈ラインを挿入後、糸でラインを巻きつけ結紮し固定する。この「巻きつける」という動詞がでてこず、nativeの後輩や看護師にも訊いたが彼らも分からなかった。今調べると、twistが当てはまるようだ。

2010/07/02

Everybody loves me

 「第一希望に決まってよかったね」という言葉には、「さみしくなるけど君がそこに行きたいのなら共に喜ぶことにしよう」という意味もあると知った。また、アメリカ人が"I will miss you"と言ったら心からと思ったほうがよい。だってアメリカ人はポジティブなことが大好きで、ネガティブな(湿っぽい)ことは大嫌いだから、よほどのことがないと「淋しくなるよ」「淋しくなるわ」なんて言わないだろう。ここで"I will miss you, too"(僕もだよ)とか軽く言うと、"No you won't"(うそばっかり)ということになり、その場は和むが密かに相手が傷ついているかもしれないから注意が必要だ。"Who knows I may come back and see you again?"(また会えるかもしれないじゃん?)みたいなポジティブな返しが求められよう。この街に、この職場に来て二年。よい人間関係を結んでいる証拠だろう。素晴らしいことだ。これからの一年は、次のステップを考えなければ。

2010/06/29

Objectives

 さて、MICUも終り、ほっと一息ついている。今月は活き活きと楽しくかつアグレッシブに仕事ができて充実していた。同時に課題も発見した。ひとつは、手技ができるのは良いとして、これからはそれを人に教えたりトラブルシュートしたりできる必要がある。手技を英語で教えるのはなかなか難しい。スポーツを教えるようなものだ。「針を進めて(go in)」「ゆっくり引いて(come back slowly)」「ガイドワイヤーを通して(feed the guide wire)」など。

 二つ目は、sickな状況にもグレードがあって、分単位、十分単位、一時間単位、数時間単位、一日単位を争うというようにそれぞれ対応が異なることだ。すべての状況が、患者さんに飛びかかるようにやれ挿管だラインだとドサドサやる必要があるわけではない。すべての出血が、緊急手術や緊急内視鏡、緊急血管造影が必要なわけではない。リスク査定が重要だ。

 三つ目は、すべての侵襲的手技は確実に行わなければならないということだ。あせって合併症を起こしたり、手技に失敗しては元も子もない。だから、そもそもその手技が必要かを熟慮したり、もっとも安全に行える方法を選んだり、止血・凝固異常があればそれを緩和したりする。幸い先月は何も起きなかったので、私は怖いもの知らず(intrepid)でイケイケ(aggressive)だった。今後は慎重さが必要だ。

2010/06/17

Congratulations, you have matched!

 晴れて第一志望の、中西部の小さな街にある巨大な大学病院にマッチした。患者さんは周辺の各州からどんどん集まってくるので卒業後に「あれは経験しなかった」「これは経験しなかった」ということがない。なんでもできる一人前の腎臓内科医に育てるという哲学が一貫している。腎移植も膵腎同時移植も、ものすごい件数やっている。大学病院で教育も研究も充実している。何もないところに志の高い医者が集まって作り上げている病院だ。先生方もすばらしかった。日本にいたころお世話になった故人の恩師がかつて研鑽した場所でもある。それにしても、最初面接に行くまではそんなに印象深くなかったのに、実際行って気にいって、そのあといろんな病院をみたけれどここが一番いいと思ったのだから、自分の目に寸分も狂いはない。思う存分やってみたい。

2010/06/08

5-oxoproline

腎不全の患者がアセトアミノフェン服用後にアニオンギャップ代謝性アシドーシスをおこしたら、5-oxoprolineの蓄積を疑う必要がある。アセトアミノフェン過量内服の患者さんが来て学んだ。このあたりの生化学の知識は曖昧なのでもう一度学びなおす必要がある。