皆さんはC型肝炎(HCV)の診療は得意だろうか?
多くの腎臓内科医は首を横に振る人も多いかと思う。筆者もその一人である。
KDIGOからCKDにおけるHCVのガイドラインが出ており、それを見ながら少し勉強できたらと思う。
今回は、簡単な記載であり実際には直接ガイドラインを見ていただきたい。
評価のタイミング
以前の2008年に比べて、より細かく提言された。
・CKD患者
−CKD評価の最初の段階でHCVスクリーニングを行う(1C)。
−抗体検査が陽性の場合には、NAT(核酸増幅検査)によってHCV-RNA検査を行う(1A)。
−HCV感染患者には肝臓の繊維化を評価を行う(1A)
・透析患者
−施設透析開始時、または透析機器の変更や方法変更時にHCVスクリーニングを行う(1A)。
−施設透析では、6ヶ月毎に抗体検査とNAT検査を行う(1B)。
−NATだけ、もしくは抗体検査が陽性時にNAT検査を行う(1A)。
・腎移植患者
−腎移植評価の際にHCVスクリーニング評価を行う(1A)。
肝繊維化評価目的に肝生検などの侵襲的な検査は行うべきではない。
☆抗体検査
下記に簡単な手順のアルゴリズムの表を載せる。
HCV感染の治療(CKD患者、移植患者)
以前のガイドラインと比べインターフェロンの使用推奨がなくなった。
・HCV感染のある、すべてのCKD患者に対して抗ウイルス治療可能か評価を行う(1A)。
−インターフェロンなしの治療を推奨(1A)
−HCVのgenotype、ウイルス量、治療歴、薬剤の反応、GFR、肝臓繊維化の程度、合併疾患の程度、腎臓・肝臓移植の適応(1A)
・GFR≧30ml/min/1.73m2 (CKD G1-G3b)の患者では、DAA(direct-active antiviral)治療のレジメンが推奨(1A)
・GFR <30ml/min/1.73m2 (CKD G4-G5D)の患者では、リバビリンを用いないDAA治療を推奨。
・腎移植患者ではHCV治療時に評価をする。
−DAAを基本とした治療を推奨(1A)
−HCVのgenotype、ウイルス量、治療歴、薬剤の反応、GFR、肝臓繊維化の程度、合併疾患の程度、腎臓・肝臓移植の適応(1A)
−インターフェロンを含めた治療は避ける。
薬剤について:
透析施設でのHCV感染の予防:
これに関しては、2008年のガイドラインとの違いはない。
・感染管理と手指衛生が非常に重要(1A)。
・HCV患者に専用の透析機械を用いることは推奨されない(1D)。
・HCV感染患者の隔離は推奨されない(2D)。
腎移植前後のHCV感染の管理:
2008年からDAAの使用推奨もあり抜本的に改訂された。
・代償性肝硬変患者では腎移植単独(肝腎同時移植でなく)が推奨される。
・HCV感染ドナーはHCV感染レシピエントに移植すべき。
・DAA治療のタイミングは個々のケースで決定すべき。下記の表を参照。
HCV感染患者の腎疾患の診断と治療:
・HCV関連腎症の治療は初期治療として、DAAでの治療を行い、クリオグロブリンの増悪、ネフローゼ症候群の発症や急速進行性腎障害が生じている場合には、免疫抑制剤や血漿交換を追加使用検討する。
このHCVのガイドラインは我々が臨床を行う上で非常に重要である。
このガイドラインでは、DAA治療が中心となっている。DAA治療において難点はが高コストである。なので、低所得国など多くの国で純粋に踏襲できない可能性はあることには注意するべきである。
http://chiba-kantomo.com/hepatitis-commentary/2431 より引用 |