2018/12/02

Na摂取が高血圧の要因になる!なんで??

 投稿の日は僕の大好きな電解質セミナーが開かれている日なので、今日は電解質に関しての投稿にしようかなと思います(ほぼ電解質ではないですが。。)。

 まず、高血圧は成人の中で4300万人が罹患しているとされている(本邦で)。

 高血圧単独で亡くなることは少ないが、高血圧は心血管疾患の最大危険因子であり、脳卒中・心血管死亡の半数以上が高血圧に関連すると言われている。




 高血圧の原因でよく言われるのが塩分摂取過剰である。

 特に、この塩分摂取に伴う高血圧は日本人では起こりやすいと言われている。

 この原因としては

 以前は

 塩分摂取過剰→腎臓からの尿中へのNa+排泄が追いつかず体液中Na+上昇→血液浸透圧の上昇→血管内に浸透圧勾配で水の流入→血液量が増加し高血圧

 最近は

 全身の血管の交感神経の活性化→血管収縮→高血圧を発症

 という説が有力になっている。

 この最近の説は降圧薬の機序を考えてもCa拮抗薬などは血管拡張作用があり、理にはかなっている。

 ただ、交感神経活性化はどこで感知しているのか??というのが今まで未解明であった。


体内のNa濃度上昇→??→交感神経活性化


 今回日本人のグループがこれを解明して論文に報告されていたので簡潔に記載しようと思う。ぜひ、論文を読んでくださいね。

 まず、キーワードは

・Nax:

 ナトリウムチャネルの一つで細胞外ナトリウム濃度の上昇に応じて開口し細胞内にナトリウムを流入させる機能を持つ。

・OVLT(終板脈管器官):

 脳内器官の一つで交感神経や血圧の制御に関与。

・PVN(視床下部傍核):

 脳内器官の一つで同様に交感神経や血圧の制御に関与。

・ASIC1(酸感受性イオンチャンネル1):

 細胞外のpH低下に反応して開口する陽イオンチャンネル

 わかりやすい図として、今回の論文のキーになるものを下図に示す。





 もともとこのグループは細胞外液Na+濃度上昇に応じて開口するNaxを見出していた

 その後、Nax欠損マウスでは脳脊髄液のNa+濃度を上昇させても交感神経活性化や血圧上昇は起こらなかった。

 →Naxが脳内センサーとして関連しているとわかった。

 では、どの領域で起こっているのかと言うことを次に調べた。

→結論として、OVLTのグリア細胞に発現するNaxが活性化しH+が放出され、ASIC1を開始OVLTニューロンを活性化し交感神経上昇し血圧上昇に関連していることがわかった。また、OVLT→PVN→RVLM(頭側延髄外側野)→脊髄でも同様に交感神経活性化することがわかった(上図参照)。

 今後ここから発展することとしては、降圧薬開発なのではないか?

 交感神経のブロック薬や新規の薬が高血圧治療に出てくる可能性がある。

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