降圧目標に関しては、ACC/AHAのガイドラインが新しくでて、日本のガイドラインも今後反映されるかもしれないが分かりづらいので下図を添付する。
Neph JCより引用 |
①カルシニューリン阻害薬の内服で血中濃度はどうか?を確認する。
②薬剤でのコントロールを行う。
・カルシウム拮抗薬(CCB)
第一選択として好まれることが多い。
理由:降圧効果が確立しており、CNIによる血管収縮を最小限にするため。
Up To date より |
この報告ではプラセボ、ACE-Iに比べて降圧効果としてはCCBが一番効果があったというものである。
カルシウム拮抗薬はジヒドロピリジン系と非ジヒドロピリジン系に分かれ、特に非ジヒドロピリジン系に関しては薬剤との相互作用に注意をする必要がある。
-ジヒドロピリジン系:アムロジピンヘシル酸塩、ペルジピンなど
-非ジヒドロピリジン系:ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩など
非ジヒドロピリジン系に関してはCYP3A/4の阻害を行う。
CYP3A/4はCNIやmTOR阻害薬の代謝に重要であり、非ジヒドロピリジン系の使用で血中濃度が上昇してしまうので注意する。
・ACE-I、ARB
追加薬として使用は検討すべきである。動物実験レベルではあるが、シクロスポリンによる腎症の予防に働く。
ACE-I/ARBに関してはCKDには有用であることが証明されているが、移植後の有用性の証明は乏しい。そして、いくつかの良くない点も指摘されている。
a)シクロスポリンとの併用で腎血管への影響を来し、GFRの低下をおこす。
b)シクロスポリン/タクロリムスは尿中K排泄低下を来し、高K傾向になりやすく、ACE-I/ARB使用でさらなる高Kになるリスクがある
c)ACE-Iによって移植患者の貧血を惹起する(5-10%に生じる)。それがシクロスポリン内服で顕著化する。
いい点としてはARBによって移植後の尿酸低下をもたらし痛風の予防や降圧・タンパク尿減少に役立つ。
なので、ACE-I/ARBは使用するにしても移植後すぐではなく、3-6か月以上たって安定した状態のほうが望ましい。
薬剤に関しては、やはり薬剤相互作用をしっかりと確認しておくことが非常に重要である。それに関しては、下の表を参考にしていただきたい!
JASN 2015より |
移植の高血圧管理は非常に重要である。
レシピエントにとってもドナーにとっても腎臓は非常に大切であり、我々もしっかり高血圧の管理を知っておくことが重要である。